手で食べるか、箸か
てでたべるか、はしか
握りは、手でも箸でも構わない。職人も「お客様のお好み」と言います。ただし歴史をたどると、カウンターは手、座敷は箸という筋道がちゃんとある。
先に答えを言えば、どちらでもいい。手で食べるか箸を使うかは客の好みで、店が気にするのは、出された寿司をとにかく早く口に運んでもらうことのほうです。
握りは江戸の下町生まれで、最初は露店や屋台で売られていました。食器もろくにそろわない場所です。箸を用意すれば、片づけに時間もお金もかかる。だから手でつまんだ。やがて寿司屋が料亭のような店を構えると、器を吟味し、箸も出すようになりました。
屋台の商いを受け継いだのがカウンター、料亭の商いを受け継いだのが小上がりの座敷。だからカウンターでは手で、小上がりでは箸で、というのが本来の筋道です。昔の職人は、カウンター用と小上がり用とで握り方まで変えていました。
手と箸のほかに、楊枝という道もありました。芝居見物の弁当のように、手で食べるのははばかられるが、箸を出すほど改まってもいない。そんな場面では、握りを楊枝で刺して食べたのです。楊枝で刺して口元まで運び、口に入れるとぱらりとほぐれる。それがちょうどいいシャリの硬さだ、という名人の言葉も残っています。
迷うなら、一度は手で。職人の手から生まれた寿司を、こちらも手で受け取る。職人と寿司を介して握手をするようなものです。
箸で食べるなら、ひとつ口に運ぶごとに箸置きへ戻す。それだけで、カウンターでの姿が粋に見えます。
このページの出典(4件)
- 「江戸前寿司」のいろは——伝承から攻略法まで 銀座名店「鮨青木」店主が伝授(2014年7月24日)(nippon.com)2026-09-25 閲覧
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