つけ場
つけば
寿司屋の調理場、職人が握る持ち場のこと。寿司は「作る」ではなく「漬ける」と言った、その名残りの言葉です。
つけ場は、寿司の調理場。寿司屋では寿司を「作る」とは言わず、「漬ける」と言いました。タネを醤油や塩に漬ける仕事が多かったからです。漬ける場所だから、つけ場。
「漬ける」の出どころを、もっと古くにさかのぼる見方もあります。もともと寿司は、酢で味をつけるものではなく、発酵させて酸っぱくするものでした。桶の中で、漬物と同じように漬けた。早ずしの時代になっても、握りの時代になっても、その言葉が残った。握る場所を「つけ場」、寿司を置くところを「つけ台」と呼ぶのが、その証しです。
持ち帰りの寿司を売る店では、座敷に「つけ場格子」をしつらえ、職人はその中に座って握っていました。往来から寿司を握る手元は見えなかった。
昔の寿司は、屋台でも内店でも座って握るもの。屋台の形が店の中に持ち込まれてから、立って握るようになりました。これを「立ち仕事」と呼び、カウンターに座る客を「立ちのお客」と呼ぶのは、ここから。
座りから立ちへ移っていったのは、関東大震災(1923年)のあと。昭和32年(1957)の職人の対談でも、「立ち仕事に変わったときは、腰が座らなくって」「まだ座りダコがある」という声が出ています。
カウンターは屋台の商法、小上がりの座敷は料亭の商法を受け継いでいます。つけ場の向こうは、いまも寿司の屋台なのです。
このページの出典(4件)
- すし検定学習 (五)すし屋を楽しむ雑学(全国すし商生活衛生同業組合連合会)2026-09-29 閲覧
- 江戸時代から現代まで。移り変わるすし屋のスタイル|料理王国(料理王国)2026-09-29 閲覧
- すしの歴史(6) 各種すしの歴史|すしラボ(ミツカン)2026-09-29 閲覧
- すしは「作る」ものではなく、「漬ける」もの【すしトリビア(3)】(日比野光敏)|すしラボ(ミツカン)2026-09-30 閲覧