早寿司
はやずし
発酵を待たず、酢で酸味をつける寿司。なれずしより早く食べられるから「早ずし」。押し寿司も巻き寿司も握りも、この流れから生まれました。
塩や酢で締めた魚とシャリを重ねて強く押し、数時間から一晩で味をなじませる。これが早ずしです。一晩おくものは「一夜ずし」。広くは、発酵で酸味を出すなれずしに対して、酢で味をつけたシャリを使う寿司全体を指す言葉でもあります。
名前の由来は、そのまま。発酵に時間のかかるなれずしより、早く食べられるから早ずし。酢を使う寿司が作られ始めた時期は、江戸時代の初めとする辞典もあれば、江戸中期の1700年代前半とする見方もあります。
延宝5年(1677)の俳諧には、もう「早すし」が詠まれています。「早すしやなれしむかしのさくらたい」。季語としての早ずしは夏です。
江戸の半ばには、ご飯を発酵させながら酢も混ぜるのが珍しくなくなり、18世紀に早ずしが出来上がります。箱ずし、巻きずし、棒ずしもこの時代の生まれ。握りが登場する前の江戸で人気を集めていたのは、箱ずしでした。
魚を切り身にしてご飯と漬けた「切り身ずし」が、酢の時代に入って箱ずしになりました。いちばん磨き上げられたのが大阪の箱ずしで、明治には2寸6分(約8.5センチ)角の箱にサバやアナゴ、玉子焼きを美しく並べ、「2寸6分の懐石料理」と呼ばれるものまで現れています。
握りもまた、早ずしの一つです。明治31年(1898)の『風俗画報』は、握りずしは漬ける手間を握ることに換えたもので、だから早ずしの名がある、と説いています。
和歌山では、サバの押し寿司を「早ずし」と呼びます。「早なれ」「早なれずし」とも。ラーメン店にも置いてあって、ラーメンと一緒に食べる習慣があります。
このことばが出てくるタネ
このページの出典(4件)
- 早鮨(はやずし)とは|コトバンク(小学館『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』、講談社『日本の郷土料理がわかる辞典』ほか)(コトバンク)2026-09-29 閲覧
- すしの歴史(2) 日本古来の「発酵ずし」と、最古のすし屋「つるべすし 弥助」|すしラボ(ミツカン)2026-09-29 閲覧
- すしの歴史(4) 江戸の握り寿司文化と華屋与兵衛|すしラボ(ミツカン)2026-09-29 閲覧
- すしの歴史(6) 各種すしの歴史|すしラボ(ミツカン)2026-09-29 閲覧