玉子
たまご/Tamagoyaki (sweet omelet)
寿司店の玉子焼きは、符丁で「ギョク」。昔ながらの江戸前の玉子は、卵に海老や白身魚のすり身を混ぜ、ごく弱い火で長い時間をかけて焼き上げる、カステラのようなものです。いまよく見る出汁の厚焼き玉子が寿司屋に広まったのは戦後のこと。蕎麦屋のつまみを取り入れたのが始まりでした。

昔の玉子はカステラだった
江戸前寿司の玉子は、海老やヒラメ、鯛などのすり身を入れた卵を、ほたる火でじっくり焼き上げます。仕込みから焼き上がりまで、半日がかりの店もあるほどです。
東京早稲田の八幡鮨に残る昔ながらの玉子は、鯛と海老を分厚い切り身のまま擂鉢でつぶすところから始まります。そこへ卵と砂糖・塩・味醂を混ぜ、近くを通れば消えてしまいそうなほどのトロ火で焼く。厚く焼くと、仕込みから2時間ほどかかります。
すり身を混ぜたのには、わけがあります。戦前は卵がたいへん貴重だったので、白身魚や海老、山芋などのすり身でかさを増して焼いていたのです。やがて卵が安くなり、魚介との値段が逆転すると、この玉子はあまり見かけなくなりました。

出汁の玉子焼きは蕎麦屋から
いまの出汁の玉子焼きが寿司屋に入ってきたのは、戦後のこと。蕎麦屋がつまみに出していた玉子焼きを見て、ある寿司屋が取り入れたのが始まりです。
ところが古い職人のなかには、ギョクとはすり身入りの昔ながらの玉子のことで、いまの出汁の玉子焼きをそう呼ぶのには抵抗がある、という人もいます。

ギョク、リャンで
寿司店で「ギョク」といえば玉子。「玉」の音読みです。「ギョク、リャンで」と言えば、玉子を2つ、という意味になる。
江戸前寿司の締めは、今も昔も玉子と相場が決まっている。そう言い切る店もあります。
江戸前寿司で「のり巻き」といえば、干瓢巻き。玉子と並ぶ、締めの定番です。
ウニ、おぼろ、はんぺん
芝海老のおぼろは、寿司屋の玉子焼の原料にもなります。
家では、はんぺんを使うとふわふわの卵焼きになります。はんぺん1/2枚を卵2個・だし汁大さじ4とよく混ぜ(ミキサーを使ってもかまいません)、卵焼き器で3回に分けて巻きながら焼く。はんぺんをよくすりつぶすほど、ふわふわに仕上がります。塩やしょうゆは入れなくていい。紀文食品が「はんぺんのふわふわ卵焼き」として紹介している作り方です。
値段
回転寿司
- くら寿司「たまご焼き」1皿(一皿110円からの店)110円2026-09-25 時点
- スシロー「たまご」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)120円2026-09-29 時点
- はま寿司「旨だしたまご」1皿(税込)110円2026-09-29 時点
大衆店
- 築地玉寿司 築地本店「玉子焼」お好み1貫(税込)165円2026-09-29 時点
- 築地すし鮮「築地丸武の玉子」おこのみ1貫(税込)378円2026-09-29 時点
- すしざんまい「玉子」1個(グランドメニュー、税込)140円2026-09-29 時点
- 梅丘寿司の美登利「玉子にぎり」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)55円2026-09-29 時点
- 梅丘寿司の美登利「大玉子」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)220円2026-09-29 時点
- 芦屋 波沙鮓「玉子」にぎり1貫(税込。本体価格400円)440円2026-09-30 時点
- 富山 蛇の目寿司「玉子」にぎり1個(税込。その日の仕入れや季節で変わる)165円2026-09-30 時点
『江戸前の旬』では
4巻では、インスタントでも旨いことを証明してやる、と言う同級生に、旬がダシ巻卵の勝負を持ちかけられます。8巻は、卵を割っただけで「料理人としての心遣いがない」と言われた若い料理人の相談から、旬が基本に立ち返る話。読者の感想には、60巻で玉子焼きの技術の習得に励む弟子の和彦、15巻の桜海老を粉にした玉子焼き、30巻の海苔の代わりに薄焼き玉子で巻く玉子巻き寿司、74巻のウニカステラ。114巻では、ただの茹で玉子を寿司にする古い江戸前の仕事「ひよこ寿司」に、和彦たちが挑みます。
88巻には「ばあばの玉子焼き」と題した話があります。
次に読みたくなる
玉子とつながるタネ
出てきた寿司ことば
- おぼろエビや白身魚の身をゆでてほぐし、味を付けて細かく炒ったもの。そぼろよりも、さらに細かくほぐしたものを指します。伝統的な江戸前寿司では、芝海老のおぼろが要です。
- 握り寿司シャリの上にタネをのせて握る、日本を代表する寿司。始まりは魚を飯で発酵させる保存食で、酢を使う早ずしを経て、江戸後期の屋台で今の形になりました。当時の握りは、今の2〜3倍の大きさです。
- おまかせ何をどの順で握るかを、職人に任せる頼み方。その日の仕入れを見て、職人が1貫目から最後までの流れを組み立てます。昭和の初めごろまでは、こちらが当たり前の頼み方でした。
- 醤油のつけ方醤油はタネにつけるか、シャリにつけるか。寿司屋の組合の答えは、タネの端に少しだけ。シャリにつけると崩れるし、煮ものや玉子のように、そもそもつけない寿司もあります。
出てきた土地
このページの出典(23件)
- 寿司屋で「ギョク」と言えば?(東京すしアカデミー)2026-09-25 閲覧
- 鮨職人の技(魚竹寿し)2026-09-25 閲覧
- 玉子焼きの変遷(早稲田 八幡鮨)2026-09-25 閲覧
- 玉子を食べると〇〇がわかる?(京都寿司アカデミー)2026-09-25 閲覧
- そぼろ(Wikipedia日本語版)2026-09-25 閲覧
- はんぺんのふわふわ卵焼き(紀文食品)2026-09-25 閲覧
- [一皿110円〜店舗]メニューのご案内|くら寿司(くら寿司株式会社)2026-09-25 閲覧
- 巣本店のメニュー|スシローのメニュー(株式会社あきんどスシロー)2026-09-29 閲覧
- メニュー紹介|はま寿司(株式会社はま寿司)2026-09-25 閲覧
- 築地玉寿司 築地本店(お品書き)|築地玉寿司グループ(株式会社玉寿司)2026-09-29 閲覧
- おこのみ一貫|築地すし鮮(すし鮮)2026-09-29 閲覧
- すしざんまい|メニュー(グランドメニュー)(株式会社喜代村)2026-09-29 閲覧
- グランドメニュー|梅丘寿司の美登利(梅丘寿司の美登利)2026-09-29 閲覧
- お品書き すし・一品料理等|波沙鮓(芦屋)(波沙鮓)2026-09-30 閲覧
- 寿司・一品料理|蛇の目寿司(富山市奥田)(蛇の目寿司)2026-09-30 閲覧
- 江戸前の旬 4巻(作品紹介)|コミックシーモア(コミックシーモア(NTTソルマーレ))2026-10-11 閲覧
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