寿司のデータベース

品書き / 煮物・玉子

玉子

たまご/Tamagoyaki (sweet omelet)

寿司店の玉子焼きは、符丁で「ギョク」。昔ながらの江戸前の玉子は、卵に海老や白身魚のすり身を混ぜ、ごく弱い火で長い時間をかけて焼き上げる、カステラのようなものです。いまよく見る出汁の厚焼き玉子が寿司屋に広まったのは戦後のこと。蕎麦屋のつまみを取り入れたのが始まりでした。

玉子の握り(茨城県つくばみらい市の回転寿司店)
玉子の握り(茨城県つくばみらい市の回転寿司店)写真: Nkanplain (talk)(CC BY-SA 3.0)

昔の玉子はカステラだった

江戸前寿司の玉子は、海老やヒラメ、鯛などのすり身を入れた卵を、ほたる火でじっくり焼き上げます。仕込みから焼き上がりまで、半日がかりの店もあるほどです。
東京早稲田の八幡鮨に残る昔ながらの玉子は、鯛と海老を分厚い切り身のまま擂鉢でつぶすところから始まります。そこへ卵と砂糖・塩・味醂を混ぜ、近くを通れば消えてしまいそうなほどのトロ火で焼く。厚く焼くと、仕込みから2時間ほどかかります。
すり身を混ぜたのには、わけがあります。戦前は卵がたいへん貴重だったので、白身魚や海老、山芋などのすり身でかさを増して焼いていたのです。やがて卵が安くなり、魚介との値段が逆転すると、この玉子はあまり見かけなくなりました。
カステラ玉子と出し巻き玉子(ホノルルの寿司店)
カステラ玉子と出し巻き玉子(ホノルルの寿司店)写真: T.Tseng(CC BY 2.0)
寿司屋の玉子焼きには、薄焼き玉子、厚焼き玉子、出し巻き玉子があります。江戸時代から伝わる伝統の玉子は、姿がカステラに似ているので「カステラ玉子」とも呼ばれる。

出汁の玉子焼きは蕎麦屋から

いまの出汁の玉子焼きが寿司屋に入ってきたのは、戦後のこと。蕎麦屋がつまみに出していた玉子焼きを見て、ある寿司屋が取り入れたのが始まりです。
ところが古い職人のなかには、ギョクとはすり身入りの昔ながらの玉子のことで、いまの出汁の玉子焼きをそう呼ぶのには抵抗がある、という人もいます。
築地の寿司店の玉子焼き
築地の寿司店の玉子焼き写真: jetalone from Sushi bar Hamashige Sushi in Tsukiji fish market, Tsukiji, Chuo, Tokyo(CC BY 2.0)
昔から「玉子焼きを食べればその職人の腕前が分かる」。近ごろはもう一歩進んで、玉子を食べればその店のシャリの味まで確かめられます。

ギョク、リャンで

寿司店で「ギョク」といえば玉子。「玉」の音読みです。「ギョク、リャンで」と言えば、玉子を2つ、という意味になる。
江戸前寿司の締めは、今も昔も玉子と相場が決まっている。そう言い切る店もあります。
江戸前寿司で「のり巻き」といえば、干瓢巻き。玉子と並ぶ、締めの定番です。

ウニ、おぼろ、はんぺん

芝海老のおぼろは、寿司屋の玉子焼の原料にもなります。
家では、はんぺんを使うとふわふわの卵焼きになります。はんぺん1/2枚を卵2個・だし汁大さじ4とよく混ぜ(ミキサーを使ってもかまいません)、卵焼き器で3回に分けて巻きながら焼く。はんぺんをよくすりつぶすほど、ふわふわに仕上がります。塩やしょうゆは入れなくていい。紀文食品が「はんぺんのふわふわ卵焼き」として紹介している作り方です。

値段

回転寿司・街の寿司屋・高級店のおまかせを並べて比べる

回転寿司

  • くら寿司「たまご焼き」1皿(一皿110円からの店)110円2026-09-25 時点
  • スシロー「たまご」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)120円2026-09-29 時点
  • はま寿司「旨だしたまご」1皿(税込)110円2026-09-29 時点

大衆店

  • 築地玉寿司 築地本店「玉子焼」お好み1貫(税込)165円2026-09-29 時点
  • 築地すし鮮「築地丸武の玉子」おこのみ1貫(税込)378円2026-09-29 時点
  • すしざんまい「玉子」1個(グランドメニュー、税込)140円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「玉子にぎり」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)55円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「大玉子」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)220円2026-09-29 時点
  • 芦屋 波沙鮓「玉子」にぎり1貫(税込。本体価格400円)440円2026-09-30 時点
  • 富山 蛇の目寿司「玉子」にぎり1個(税込。その日の仕入れや季節で変わる)165円2026-09-30 時点

『江戸前の旬』では

4巻では、インスタントでも旨いことを証明してやる、と言う同級生に、旬がダシ巻卵の勝負を持ちかけられます。8巻は、卵を割っただけで「料理人としての心遣いがない」と言われた若い料理人の相談から、旬が基本に立ち返る話。読者の感想には、60巻で玉子焼きの技術の習得に励む弟子の和彦、15巻の桜海老を粉にした玉子焼き、30巻の海苔の代わりに薄焼き玉子で巻く玉子巻き寿司、74巻のウニカステラ。114巻では、ただの茹で玉子を寿司にする古い江戸前の仕事「ひよこ寿司」に、和彦たちが挑みます。

88巻には「ばあばの玉子焼き」と題した話があります。

次に読みたくなる

玉子とつながるタネ

出てきた土地

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