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寿司の「ネタ」が、話の「ネタ」になるまで

記事のネタ、手品のネタ、落語のネタ。寿司屋の符丁だったはずの「ネタ」は、いつのまに、これほど広い意味の言葉になったのか。

材料から、元手と品物へ

ネタは、タネ(種)をひっくり返して読んだ隠語です。いちばん古い例として辞書が挙げるのは、江戸後期の随筆『松屋筆記』(1818〜45年ごろ)。意味は、ものの材料でした。
幕末から明治の歌舞伎になると、ネタは材料の外へ出ていきます。「なんのねたもねえ癖に」(1867年)では、ものごとをするための元手や道具。「ありやあ豪気にねたがいいぜ」(1874年、河竹黙阿弥)では、品物のこと。

記事のネタ、証拠のネタ

大正10年(1921年)の新語辞典『新しき用語の泉』には、新聞や雑誌の記事の特別な材料、という意味で載りました。記事のネタ、特ダネのネタです。
同じころ、証拠という意味でも使われます。里見弴の小説『今年竹』(1919〜27年)に、「大抵ねたがあがってたって」。いまも言う「ネタが上がる」です。

いまのネタ

いまの辞書では、ネタの意味は六つ。新聞記事や文章の材料(小説のネタ)、証拠(ネタが上がる)、手品の仕掛け(ネタを明かす)、演芸の出し物(落語の定番ネタ)、人をかつぐための作り話(彼の失敗談はネタだろう)。そして六番目に、料理の材料(すしのネタ)。見出しには、「ネタ」とカタカナで書くことが多い、と添えられています。

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