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寿司屋の符丁、客が使ってもいい言葉

ネタ、シャリ、ガリ、アガリ、オアイソ。寿司屋で耳にする言葉を、客が口にしていいものか。言い分は、言葉ごとに分かれます。

符丁は職人の言葉

ネタ、シャリ、ガリ、オアイソ。寿司屋で飛び交うこうした言葉は、どれも隠語です。仲間内だけで通じるように仕立てた言葉で、符丁とも言います。符丁はもともと、客にわからないように値段を相談するための商いの言葉でした。
だから、客が使う言葉ではない、という考え方があります。エッセイストの里見真三は「カネを払う客が媚び諂って、カネを頂く立場にある職人の隠語をシタリ気に用いる必要は毫もない」と書き、寿司の本でも職人の語り以外では隠語を使いませんでした。『すし屋の常識・非常識』(重金敦之)も、書くのは「たね」です。

言葉ごとに分かれる

ただ、なかには一般の言葉になりきった符丁もあります。ガリがそう。いまさら「酢生姜」と言われると、かえって落ち着きません。
言い換えにくい言葉もある。ゲソは、脱いだ履物の「下足」から来たイカの足のこと。意味を知ると使いづらいのに、「イカ足ください」はもっと言いづらい。詰めは「煮詰める」ことに意味があるので、「タレ」とは呼びにくい。
いちばん意見が分かれるのが、会計のオアイソ。もとは店の側の言葉で、客が勘定書を見て愛想を尽かす、そこから出たという見方もあります。辞書のなかには「今では客の方も、この語を用いる」と書くものがある。一方で、店の側の言葉なのだから、客は使わないほうがよさそうだ、という見立てもあります。

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