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ことわざ

秋刀魚が出ると按摩が引っ込む

さんまとあんま。語呂合わせのようでいて、江戸の秋の台所をそのまま言い当てたことわざです。ついでに、佐藤春夫が「苦いか塩つぱいか」と詠んだはらわたの話も。

秋刀魚の塩焼き
秋刀魚の塩焼き写真: miminari(CC BY 2.0)

さんまが出ると

「秋刀魚が出ると按摩が引っ込む」。さんまが出回る秋になると、みんな元気になって、按摩にかかる人がいなくなる。江戸の秋を言い表したことわざです。
秋刀魚の字のとおり、秋にどっさり獲れる魚。旬の秋には値が下がり、庶民の食卓にしょっちゅうのぼりました。栄養たっぷりの秋刀魚をたらふく食べれば、病人も減るというわけです。
引っ込むほうの按摩は、体をもみ、さすり、たたいて治す療法。奈良時代には外傷や骨折の手当てまで受け持っていましたが、そちらはのちに医師の仕事になり、もむ、さするだけが民間療法として残りました。いまの按摩は、江戸時代に体系化された術式の流れをくんでいます。

房総沖を下ってくる魚

サンマ
サンマ写真: Miya(CC BY-SA 3.0)
秋刀魚は夏を北の冷たい海で過ごし、秋になると南へ下りはじめる。脂を蓄えるのは北の海で、南へ下るほど脂は落ちていきます。そのかわり、えさを食べ続けて体は大きくなり、房総沖を過ぎるころにはビタミンやEPA、DHAをたっぷり含む。このことわざは江戸の話。江戸の目の前が、ちょうどその房総沖です。

苦いか塩つぱいか

大正10年(1921年)10月、佐藤春夫は「秋刀魚の歌」を書きました。「さんま、さんま、/さんま苦いか塩つぱいか。」
この「苦い」を、はらわたの味だと思っている人は多い。ところが、新しい秋刀魚のはらわたには甘みがあります。苦みが前に出てくるのは、鮮度が落ちてから。
はらわたまで食べられるのには、わけがある。秋刀魚には胃が無く、短くまっすぐな腸が肛門につながっています。食べたえさは30分ほどで出てしまうので、腹の中に残らないのです。

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