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品書き / 寿司ばなし / 清盛と鱸

平家物語

清盛と鱸

熊野へ向かう清盛の船に、大きな鱸が躍り込んだ。精進の旅の途中なのに、清盛はそれを料理させて皆に食べさせ、やがて太政大臣へ。『平家物語』が平家の栄華の始まりに置いた、魚の話です。

『天子摂関御影』の平清盛(南北朝時代)
『天子摂関御影』の平清盛(南北朝時代)写真: 藤原豪信(Public domain)

熊野へ向かう船に

『平家物語』巻第一に、「鱸」という章があります。平家がこれほど栄えたのは熊野権現のご利益だ、と語り出す章です。
熊野本宮大社
熊野本宮大社写真: popsaurus(CC BY 3.0)
清盛がまだ安芸守だったころ。伊勢の海から船で熊野へ参詣する途中、大きな鱸が船の中へ躍り込んできました。

周の武王の白魚

道案内の先達が言うには、「昔周の武王の船にこそ、白魚は、躍り入りたりけるなれ。これ吉事なり」。
先達が引いた故事は、中国の『史記』周本紀にあります。周の武王が黄河を渡るとき、流れの半ばで白い魚が王の舟に躍り込んだ。武王は身をかがめてそれを取り、神に供えて祭りました。

精進の旅で、魚を食べる

熊野詣は、十戒を守り、精進潔斎して歩く道。魚など口にしてはならない旅です。それでも清盛は、この鱸を調理して、家の子や侍たちに食べさせました。
そのためか、吉事ばかりが続きます。右大臣も左大臣も経ずに、内大臣から太政大臣従一位へ。子孫の出世は「竜の雲に昇るよりは、猶すみやかなり」と書かれるほどでした。
スズキ(東京近郊の売り場、2019年)
スズキ(東京近郊の売り場、2019年)写真: Nesnad(CC BY 4.0)
スズキは、育つにつれて呼び名が変わる出世魚でもあります。この清盛の故事とあわせて、縁起のいい魚に数えられてきました。

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