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バランは葉蘭

寿司の折や持ち帰りのパックに入っている、緑の仕切り。あれを「バラン」と呼ぶのはなぜなのか。もとをたどると、庭に植わっている一株の植物に行き着きます。

仕切りの名は植物の名

辞書の「ばらん」は、弁当箱や折詰で料理と料理のあいだに入れる薄い仕切り。いまはほとんどがプラスチックなどの人工の素材ですが、もともとはハランの葉を使っていたから、この名があります。緑のプラスチックは、本物の葉の真似から始まったものです。
ハラン(葉蘭)
ハラン(葉蘭)写真: Frank C. Müller(CC BY-SA 2.0 DE)
そのハラン、漢字で書くと葉蘭。中国生まれの常緑の多年草で、日本でも古くから庭に植えられてきました。地中をはう根茎の節から、長さ30〜50センチほどの長い楕円の葉を出す。4月ごろには、地面近くに紫褐色の花を咲かせます。根茎は利尿や強心の薬にもなる。

関西は葉蘭

寿司の盛り込みや折詰に添える緑は、江戸前なら笹、関西なら葉蘭。葉蘭は古くから、料理の盛りつけや下に敷くかい敷に使われてきた葉です。笹と違って時間がたっても縮れないので、時間をおいても味の変わらない関西の寿司によく合う。器の代わりにもなります。

「ハ」が「バ」になったのは

では、なぜ「ハ」が「バ」に濁ったのか。よく見かける説明は、プラスチックの写しを「人造ハラン」と呼ぶうちに、人造バランと濁り、やがて「人造」が取れた、というもの。ところが『精選版 日本国語大辞典』は、葉蘭そのものを「ばらん」とも読むとして、俳諧の『新季寄』(1802)から「ばらんの花」を引いています。『デジタル大辞泉』も別名に「馬蘭(ばらん)」を挙げ、植物の名の読みを集めた辞典にはハラン、バラン、バレンの三つが並ぶ。プラスチックが生まれるずっと前から、葉蘭は「ばらん」とも呼ばれていました。

笹切りの腕くらべ

笹を美しい模様に切ったものが、化粧笹。盛りつけの飾りや仕切りに使います。この笹切りは腕くらべの種目にもなっていて、全国すし連が昭和51年から開いている全国すし技術コンクール大会では、巻きずし、関西鮓、にぎりずしと並ぶ4部門のひとつが笹切り競技です。
笹の役目は、時代とともに変わってきました。東京すしアカデミーの記事がたどるところでは、なれ寿司のころは、寿司の腐敗を少しでも防ぐために下に敷くもの。江戸後期には、届け先の家紋を笹で型取って寿司の上にのせる店もあった。冷蔵庫が行き渡ってからは、隣り合うタネどうしの味移りを防ぐ役が主になります。

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