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品書き / 寿司ばなし / 雷の魚のハタハタ寿し

秋田

雷の魚のハタハタ寿し

海が荒れ、雷が鳴ると、岸に押し寄せてくる魚がいる。秋田の正月に欠かせない、ハタハタ寿しの話です。

雷とともに来る魚

ハタハタは、ふだんは深い海にすむ魚です。海が荒れて雷がとどろくころ、卵を産む一時期だけ、大群で岸近くに現れる。そこで雷の光を指す古い言葉「霹靂神(はたはたがみ)」から、ハタハタと呼ばれるようになりました。別名はカミナリウオ。漢字では、魚へんに神と書いて「鰰」です。
民謡の「秋田音頭」にも唄われ、ハタハタなしでは正月を迎えられない、というほど秋田の暮らしに根づいた魚。昔は年に1万トンを超えてとれていましたが、とりすぎや日本海の水温の変化で減り、いまは高級魚として扱われています。
冬のほんの数週間、ときには数日だけ、ハタハタは群れで押し寄せる。一度には食べきれない魚を腐らせないための知恵が、魚醤の「しょっつる」と、ハタハタの飯寿司(いずし)でした。

正月の一匹ずし

ハタハタ寿しは、酢で締める寿司ではなく、ご飯と麹で漬けて発酵させる寿司です。米どころの秋田らしく、ご飯と麹をたっぷり使う。頭とえら、内臓を取って丸ごと漬けた「一匹ずし」は、大みそかや正月のお供えに。ひと口大の切り身で漬けた「切りずし」は、正月料理に欠かせない一品です。
作り方は手間がかかります。頭と内臓を取ったハタハタを冷水にひたし、朝と夕に水を替えながら三昼夜かけて血を抜く。酢と塩で一昼夜の下漬けをしたら、桶に笹の葉を敷き、麹を混ぜたご飯とハタハタ、ニンジン、ふのりを重ねていく。重しは最後に25〜30kgまで増やし、涼しいところで3週間ほど発酵させます。これは水にひたして血とぬめりを抜くやり方で、麹の甘みがほどよくのり、臭みのないすっきりした味になる。とったハタハタをすぐに塩漬けにするのが、昔から伝わるやり方です。
昔ながらの手作りの製法を守っている店は、いまでは明治時代から続くハタハタの卸、「三浦米太郎商店」と「永田商店」の2軒だけになりました。

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