寿司のデータベース

品書き / 郷土寿司

かぶらずし

かぶらずし/Kaburazushi (turnip and yellowtail fermented sushi)

塩漬けのかぶらでブリを挟み、麹で熟れさせるなれ寿司。石川県と、かつて加賀藩だった富山県の西部で、冬のごちそう、正月の味として食べ継がれてきました。

かぶらずし
かぶらずし写真: Ttaakkaco(CC BY-SA 4.0)

ブリを隠した寿司

石川石川を代表する冬の寿司が、かぶらずしです。塩漬けにしたかぶらで塩漬けのブリを挟み、麹で作った甘酒をのせて1週間から10日ほど漬け込みます。シャリで握る寿司ではなく、漬物に近いなれ寿司の仲間。熟れたものを、何もつけずにそのまま食べます。「かぶらずしがないと正月が始まらない」という地元の人もいるほどで、年の暮れが近づくと、スーパーやデパートに並びます。
石川始まりの話はいくつもあります。金沢の金石町の漁師が、豊漁と海の安全を祈って正月に食べ始めた。前田の殿様が湯治に訪れた温泉宿でふるまわれた。いちばん切ないのは、ブリを食べたい庶民の話です。江戸時代、とれたての「御用ブリ」はまず藩主に献上され、「ブリ一本、米一俵」というほどの高級品。そこで、かぶらに挟んで食べた、というもの。少なくとも江戸時代には食べられていて、年末に魚屋や八百屋が、得意先へ通い帳を替えに行くあいさつの手土産にしたことで広まりました。

ブリおこしが鳴るころ

石川初冬の北陸では、「ブリおこし」と呼ばれる雷が鳴ります。これが鳴り響くと、ブリの定置網漁が本番。大きさで名前を変えるブリは昔から縁起物で、加賀藩から徳川将軍家へも贈られていました。そのブリ料理のなかでも、高級品とされるのがかぶらずしです。
味や口あたりは、かぶらの種類、熟れ具合、塩の加減で千差万別。気温に左右されるので、作るには経験と技術が要ります。

加賀藩だった富山の西部でも

富山冬の県西部には「かぶらずし」があります。塩漬けにしたかぶに切り込みを入れてブリなどを挟み、麹でじっくり発酵させたなれ寿司の一種。石川県でもおなじみの料理ですが、富山の西部もかつて加賀藩だったので、郷土の味として根づきました。砺波平野は10月下旬に1kgを超える大かぶがとれる産地で、11月下旬ごろからかぶらずし作りが本格化。富山ではブリのほか、サバ、サケ、マスも挟みます。
富山富山の作り方の一例です。かぶは皮を厚くむいて、柔らかい中心を使う。2cmほどの輪切りにして真ん中に切り目を入れ、塩をふって一晩。そこへそぎ切りにしたサバを挟みます。樽に甘酒麹、サバを挟んだかぶ、にんじん・ゆず・しょうがの千切りを交互に重ね、蓋をして重しをのせる。2週間ほどで熟れて、食べられるようになります。

暮れの贈り物に

年の暮れが近づくと、地元の作り手やスーパーが売り出します。家で手作りする人は昔より減りましたが、冬になるとさまざまなメーカーが売るので、味そのものは受け継がれています。年末年始の贈り物にする人も増え、作る体験の教室や、家で作るための「かぶらずしの素」まであります。

『江戸前の旬』では

28巻は金沢編。旬は、加賀前鮨を握る「清瀬」の二代目・清瀬鮎美と力を合わせて店を守ろうとし、そこで自分で考えたかぶら鮨を出します。

次に読みたくなる

かぶらずしとつながるタネ

出てきた土地

このページの出典(3件)