寿司のデータベース

品書き / 白身

ブリ鰤

ぶり/Japanese amberjack (Yellowtail)

出世魚の代表といえばブリ。ところが、その出世の呼び名が土地ごとにまるで違うのです。関東ならワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ、関西ならツバス→ハマチ→メジロ→ブリ、富山ではコズクラ→フクラギ→ガンド→ブリ。白身に赤い血合い。大きなブリは頭に近いほど脂が多く、尾に近いほど歯ごたえが強い。養殖ものは、いつでも脂がのっています。西日本では、年取り魚の顔も持っています。

ブリ(本州)
ブリ(本州)写真: re_nebel(CC BY 4.0)
ブリ、pompano、カンパチの握り(ニューヨークのSushi Nakazawa)
ブリ、pompano、カンパチの握り(ニューヨークのSushi Nakazawa)写真: T.Tseng(CC BY 2.0)

旬

歳時記では冬の季語。けれど本州で量がそろうのは2〜3月、北海道では夏〜秋です。養殖なら通年。

旬 出回る時期

種類

天然ブリ

旬は産地しだい。北海道が一大産地になってからは夏〜秋の魚にもなり、本州では年末から春が旬です。

本州の旬は年末から春。量まで考えれば、2月・3月です。北海道のオホーツク海側では7月から初冬。

養殖ブリ・ハマチ

別名 ハマチ

ハマチ(ブリの若魚)の養殖は香川県で始まり、これが海水養殖の始まりになりました。以来、ハマチは養殖魚の代名詞。いまでは「ぶり」の切り身として1年中並び、いつ買っても脂がのっている。

雷が鳴ると、ブリが来る

富山富山では11〜12月、雷が鳴って海が荒れる。その嵐とともに、ブリが富山湾に入ってきます。この雷を「ぶりおこし」と呼ぶのです。
天然ブリ・富山富山湾で冬に取れる寒ブリは、平成8年に「富山県のさかな」に選ばれました。氷見市で取れるものは「ひみ寒ブリ」としてブランド化。水揚げしたらすぐ、船の上で氷冷海水を使って沖締めにします。
北風が吹き始めると、人形町「㐂寿司」では、寒ぶり・寒さば・寒ひらめと、定番の寿司ダネにわざわざ「寒」の字を付けて呼びます。
天然ブリ・北海道ブリは、産卵場所も回遊域も北へ移りつつあります。2009年にはオホーツク海の定置網にまで入り、2010年から北海道の漁獲量が急増。ついに漁獲量日本一になりました。

値が付くのはイナダから

関東ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ、関西ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリと出世していきます。北陸の呼び分けは、もっと込み入っている。関東以上に、小さいものから大きいものまでまんべんなく食べているからです。
手のひらサイズからワカシサイズまでは、ほとんど値が付きません。流通で値が付くのはイナダから。5kg以上は高値、10kg以上ともなると、ときに最高級の値が付きます。
養殖ブリ・ハマチ・香川ハマチの養殖を始めたのは野網和三郎。昭和の初め、香川県引田町(現東かがわ市)の安戸池でのことで、これが海水養殖の始まりになりました。
「ブリ」という名前の出どころは、ひとつに絞れません。脂(あぶら)→ぶら→ぶりと転じたとする『大言海』。年を経た魚という意味の「老(ふ)り」だとする『日本山海名産図会』。雪の降るころによく取れるから「降りの魚」。
魚偏に「師」と書くのは、師走に美味だから。よく聞く話ですが、これはどうやら俗説です。

西はブリ、東はサケ

大晦日から正月にかけての年取り魚は、富山・長野・岐阜・愛知あたりを境に、西日本がブリ、東日本がサケ。粕汁の材料も、西はブリ、東はサケが多い。日本列島が、魚でくっきり二つに分かれるのです。
長野富山湾で取れたブリは塩ブリにされ、山を越えて飛騨・信州へ運ばれました。これが「鰤街道」。飛騨では「越中鰤」、信州では飛騨から来るので「飛騨鰤」と呼ばれ、年取りの魚になりました。
博多雑煮
博多雑煮写真: FOMALHAUT(Public domain)
福岡福岡市の博多雑煮には、塩ブリの切り身。だしは焼きあご(トビウオの焼き干し)でとります。福岡、岐阜、長野などでは、ブリ入りの雑煮が定番です。
徳島徳島県では「一夜明けて元旦はぶりの刺身で祝う」。残ったブリは塩焼きにして、ご飯のおかずに。
富山富山県射水市の賀茂神社では、元旦に「鰤分け神事」が営まれます。地区ごとに献納された塩ブリを読み上げ、氏子の全戸に分け配るというもの。

嫁ブリと半身返し

石川石川・富山の、かつての前田家の領地には、娘が嫁ぐとその年の暮れに、嫁ぎ先と仲人へ大きなブリを1尾ずつ送るならわしが今も残っています。
富山氷見市など富山の海沿いの一部には「嫁ブリ」があります。結婚した年のお歳暮に、嫁の実家から嫁ぎ先へブリを1本贈る。受け取った側は、その半身を嫁の実家へ返す。これが「半身返し」です。

余った刺身は、りゅうきゅうに

りゅうきゅうをご飯にのせた丼(大分県)
りゅうきゅうをご飯にのせた丼(大分県)写真: Nissy-KITAQ(CC BY-SA 3.0)
大分大分県佐伯市などには「りゅうきゅう」「あつ飯」があります。ブリやアジなどの刺身を、しょうゆ・すりごま等のたれに漬けて、熱いご飯にのせて食べる。
大分大分県の「りゅうきゅう」の作り方の一例です。いりごまをすり鉢でよくすり、醤油・砂糖・酒の順に加えてたれを作る。刺身に切ったブリを漬け込んで器に盛り、小ねぎを散らせばできあがり。名前の由来は二つ。沖縄(琉球)の漁師に作り方を教わったから、という話と、ごま和えを「利休和え」と呼ぶことから来た、という話です。
大分りゅうきゅうは、刺身をさばいたあとの切れ端や、余った刺身で作るのがふつう。ブリ・アジ・サバなど、そのとき旬の魚で1年中作られています。
ぶり大根(富山県氷見市の氷見魚市場食堂)
ぶり大根(富山県氷見市の氷見魚市場食堂)写真: くろふね(CC BY 4.0)
富山富山県の家庭料理「ぶり大根」。大根は1〜1.5cmの輪切りにしてやわらかくゆでます(米のとぎ汁でゆでると、えぐみが抜けやすい)。ブリはさっと熱湯に通して水にとる。あとは調味料と一緒に煮てあくを取り、いったん火を止めて置いてから、もう一度煮る。こうすると味がよく染みます。
富山富山県の「ぶりしゃぶ」は、皮を引いた腹身を3mm幅に削ぎ切りにして、昆布を入れた湯で野菜と一緒にしゃぶしゃぶ。薬味とポン酢でいただきます。

値段

回転寿司・街の寿司屋・高級店のおまかせを並べて比べる

回転寿司

  • はま寿司「活〆はまち」176円2026-09-25 時点
  • くら寿司「はまち」(一皿110円からの店)160円2026-09-25 時点
  • くら寿司「ゆずぶり」(一皿110円からの店)300円2026-09-25 時点
  • スシロー「活〆はまち」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)160円2026-09-29 時点

『江戸前の旬』では

寒ブリを題にした回があります。連載の第43話です。

読者の感想を拾うと、ブリの話は巻をまたいで続きます。8巻は養殖のハマチと天然のブリ、16巻は御三家の食べ比べで若魚のイナダ。42巻には寒ブリを燻製にした握り、56巻には年取り魚の塩ブリ、73巻には寒ブリの熟成が出てきます。

82巻にも、同じ「寒ブリ」の題の話が入っています。

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
ワカシ→ワカナ→ワカナゴ→イナダ東京出世魚。ワカナゴ10〜15cm、イナダ30〜40cm
ワカシ→イナダ→サンパク→ワラサ→ブリ相模湾(関東)
ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ関西(大阪など)ツバス10〜15cm、ハマチ20〜40cm、メジロ50〜60cm、ブリ80cm以上
ツバイソ→コズクラ→フクラギ→アオブリ→ハナジロ→ガンド→ブリ→オオブリ富山県フクラギ(福来来)は30〜45cm
アオコ→コズクラ→フクラギ→ガンド→サンカ→ブリ富山県氷見市サンカは「三年」
ワカナゴ→ツバス→イナダ→ハマチ→メジロ→ブリ→オオイオ→ドタブリ和歌山県ドタブリは1m以上
モジャッコ→モジャコ→ワカナゴ→ハマチ→メジロ→ブリ→オオイオ高知県オオイオは80cm以上
ワカナゴ→ヤズ→ハマチ→メジロ→ブリ→オオウオ九州北部、鹿児島県種子島など
ショッコ→イナダ→フクラゲ→ワラサ→ブリ青森県
モジャコ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ徳島県
モンダイモン(問題もん)徳島県(漁師の間で)メジロサイズかブリサイズか悩む大きさ
ヤズゴ→ヤズ→ヤズゴブトリ長崎県平戸市度島
ナル福井県坂井市三国町70〜80cm。1mに届かないブリより小さいサイズ
アオコ→ツバス→イナダ→ハマチ→マルゴ→ブリ京都府舞鶴市

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ブリとつながるタネ

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