納豆巻
なっとうまき/Natto roll
納豆巻きは、昭和38年に岩手県盛岡の寿司屋で生まれました。高級だった寿司を、町の人が毎日食べている納豆で安く。軍艦の納豆は、また別に銀座の職人が考えたもの。いまや家庭の納豆料理の1位です。


昭和38年、盛岡の寿司屋で
岩手納豆巻きの生まれは、岩手県盛岡。昭和38年(1963)、「三寿司」の先代が新しい品書きとして考えました。当時の寿司はまだ庶民の手の届かないごちそう。できるだけ多くの人に食べてほしいと、盛岡の人が毎日食べている安い納豆を寿司にしたのです。いまも総本店ののれんには「名物なっとう巻」の文字が染め抜かれています。
岩手発祥の決め手は、あるテレビ局の調査でした。全国の寿司屋を調べたところ、昭和38年より前から納豆巻きを正式な品書きに載せていた店が見つからなかった。それ以来、三寿司が「納豆巻き発祥の店」と呼ばれるようになりました。
岩手元祖の納豆巻きは、岩手県花巻産の大粒納豆に小ねぎ、わさび、塩を混ぜ、温かいシャリにのせて、ぱりっとした海苔でしっかり巻く。納豆の味そのものを楽しむ作りで、醤油はつけずに食べるのがおすすめです。
岩手盛岡は昔から、貴重なタンパク源として納豆を食べてきた町。平成25年には、一世帯あたりの納豆の年間消費金額が全国7位でした。納豆の町だからこそ、納豆巻きが生まれたのです。
軍艦の納豆は銀座から
軍艦巻きの納豆は、また別の生まれです。のちに銀座で「鮨さゝ木」を開く佐々木啓全が、「勘八」に勤めていたころに考えたもの。ゆでて切った小松菜を納豆にのせ、塩を加えて出していました。
昭和60年代からは回転寿司チェーンやコンビニの広がりとともに一般的になり、2009年には全国のコンビニに並ぶ定番に。家庭の納豆料理の第1位にまでなりました。
においや粘りで納豆が苦手な人でも、納豆巻きなら食べられる、という人は多い。納豆は叩いてから巻くのがふつうですが、粒のまま巻く店もあります。醤油や山葵、塩で味をつけ、ねぎ、大葉、きゅうり、鰹節を加えることもある。
納豆巻きに山葵を入れるのは理にかなっています。山葵をほんの少し加えると、納豆の味がきゅっと引きしまる。元祖の納豆巻きにも、わさびが入っています。
回転寿司では、納豆は110円皿の常連。くら寿司では「納豆」(軍艦)と「納豆一本巻」がどちらも税込110円。はま寿司では「納豆巻」に加えて「納豆」「まぐろたたき納豆」「いかオクラ納豆」「納豆キムチ」と、納豆の軍艦が並びます(どれも税込110円、2026年9月確認)。
東の納豆、西の魚
納豆をよく食べるのは、東京、茨城、福島、宮城など関東から北。煮豆を藁で包んで保温して作る納豆は、雪の深い米どころで魚や野菜に代わるタンパク源でした。気候が温暖で瀬戸内海の魚がいつでも手に入る西日本には、作る習慣がありませんでした。
東京江戸っ子は大の納豆好き。江戸詰めの和歌山藩士が書いた『江戸自慢』には「からすの鳴かぬ日はあれど、納豆売りの来ぬ日はなし」。「納豆と蜆に朝寝おこされる」という川柳のとおり、早朝の下町にやって来るのが納豆売りとシジミ売りでした。
茨城「水戸納豆」の名が知られたのは、意外に新しく明治から。江戸に納豆が出回っていたことを本で知った水戸の人が、納豆を名物にしようと作り始めた。何度も失敗を重ね、世に出たのは明治20年代に鉄道が通ってからです。水戸駅のホームで土産に売られると、汽車の窓から奪い合うほどの人気になりました。
納所でできた豆
「納豆」の名は、寺の納所(台所)で作られたから。肉を食べられない僧にとって、大事なタンパク源でした。煮豆を神棚に供えたら、しめ縄の納豆菌で納豆になった。神に納めた豆だから納豆、という話もあります。
始まりは「煮豆」と「藁」の出会い。弥生時代にはもう大豆も藁もあり、藁は竪穴住居に敷き詰められていた。この時代にはすでに納豆を食べていた可能性があります。記録に出てくる最初は、『新猿楽記』に好物として挙がる「塩辛納豆」です。
値段
回転寿司
- くら寿司「納豆」(一皿110円からの店)110円2026-09-25 時点
- くら寿司「納豆一本巻」(一皿110円からの店)110円2026-09-25 時点
- はま寿司「納豆巻」110円2026-09-25 時点
- スシロー「小粒納豆巻(ネギ抜き)」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)120円2026-09-29 時点
大衆店
- 築地玉寿司 築地本店「納豆巻」手巻1本(税込)275円2026-09-29 時点
- 築地すし鮮「納豆」細巻1本(税込)431円2026-09-29 時点
- すしざんまい「納豆巻」(グランドメニュー、税込)330円2026-09-29 時点
- 梅丘寿司の美登利「納豆」細巻き(税込。一部店舗は価格が異なる場合あり)330円2026-09-29 時点
- 芦屋 波沙鮓「納豆」細巻1本(税込。本体価格600円)660円2026-09-30 時点
- 富山 蛇の目寿司「なっとう巻」巻寿し1本(税込。その日の仕入れや季節で変わる)275円2026-09-30 時点
『江戸前の旬』では
連載の第48話は「納豆巻き」。巻物の中でも、納豆巻きが一話の題になっています。
読者の感想によれば、62巻で懐かしの納豆巻きが、73巻では葱納豆を入れた稲荷寿司が出てきます。
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納豆巻とつながるタネ
このページの出典(20件)
- ニッポンおいしい納豆地図:岩手県盛岡市「三寿司の納豆巻き」|納豆PRセンター(全国納豆協同組合連合会)2026-09-25 閲覧
- 納豆巻き|Wikipedia(Wikipedia)2026-09-25 閲覧
- 薬味:ワサビ|納豆PRセンター(全国納豆協同組合連合会)2026-09-25 閲覧
- [一皿110円〜店舗]メニューのご案内|くら寿司(くら寿司株式会社)2026-09-25 閲覧
- メニュー紹介|はま寿司(株式会社はま寿司)2026-09-25 閲覧
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