寿司のデータベース

品書き / エビ・カニ

エビ海老

えび/Shrimp / Prawn

江戸前では、エビはゆでて握るもの。その代表格がクルマエビです。生のまま握る「踊り」は、戦後の大阪生まれ。甘エビ、ぼたんえび、白エビと、生で食べるエビたちは、そろって標準和名と寿司店での呼び名が食い違っています。

クルマエビ(加茂水族館の飼育個体)
クルマエビ(加茂水族館の飼育個体)写真: Totti(CC BY-SA 4.0)
茹でたエビの握り
茹でたエビの握り写真: Peterjhpark at English Wikipedia(CC BY-SA 3.0)

旬

車海老(クルマエビ)
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白エビ(シラエビ)
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旬 出回る時期

種類

車海老(クルマエビ)

別名 サイマキ、マキ

江戸前の天ぷらにも、寿司にも、まずこれ。エビのなかのエビです。内湾の干潟が減ったことなどで天然ものは激減し、いまはほとんどが養殖。原則として生きたまま売られ、死ぬと値ががくんと落ちます。

旬は晩秋から冬。水揚げが多いのは夏から秋にかけて。

関連することば 踊り(車海老の踊り)

ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)

別名 トヤマエビ、ボタンエビ

寿司店の「ぼたんえび」、その主流は標準和名トヤマエビです。本当に標準和名がボタンエビという種は太平洋側にいて、とれる量が少なく、寿司店では少数派。どちらも生で食べる、たいへん高価なエビです。

白エビ(シラエビ)

別名 シロエビ

標準和名はシラエビ。ところが一般にはシロエビと呼ばれています。商売になるほどとれるのは富山湾だけで、ついた呼び名が「富山湾の宝石」。殻がむきにくく、むき身は手間のかかる高級品です。

漁期は4〜11月。最盛期は4〜5月と8〜9月の2回。

ぼたんえびも、雄から雌へ

ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)トヤマエビも、甘エビと同じく雄として育ちます。雌に性転換するのは、孵化してから2.5〜4.5歳のころ。
ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)ぼたんえびの握りに外子(腹に抱いた卵)を乗せるかどうか。ここは職人の間でも意見が割れます。食感が加わっていいという人もいれば、邪魔だという人もいる。

生で握る「踊り」は大阪から

車海老(クルマエビ)江戸前で握るエビは、基本的にゆでたもの。生では使いませんでした。
車海老(クルマエビ)・大阪生きたクルマエビを生のまま握る「踊り」。始まりは戦後の大阪・千日前で、水槽に生かしておいたエビをそのままタネにしたのが最初です。いまでは関東の立ち寿司でもよく見かける一貫になりました。
車海老(クルマエビ)クルマエビは生きたままゆで、人肌くらいの温度で握る。香りも味も、これがいちばんです。大きすぎるとゆで方しだいで硬くなるので、江戸前の握りに向くのは12cmほどの中巻き。
茹で海老は、どうしても味が淡くなりがち。そこで甘酢や黄身酢おぼろに漬け込む。これも江戸前寿司の古典的な仕事です。

ぼたんえびの正体はトヤマエビ

トヤマエビ(マリンピア日本海)
トヤマエビ(マリンピア日本海)写真: Totti(CC BY-SA 4.0)
ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)寿司店の「ぼたんえび」は、多くが標準和名トヤマエビ。富山で採取した標本で命名されたのでこの名前ですが、標準和名を知っている人はまずいません。
ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)標準和名ボタンエビは、土佐湾から北海道噴火湾までの太平洋側にすみ、日本海にはいません。生きているときの赤さが牡丹の花のようだから、この名前。
ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)ぼたんえびの握りには、頭を添えることがあります。生のままでも、軽く炙っても。炙ればみその旨みがぐっと濃くなります。

富山湾の宝石は、昔サクラエビの代わりだった

白エビ(標準和名シラエビ)
白エビ(標準和名シラエビ)写真: 0840kenji at Japanese Wikipedia(CC BY-SA 3.0)
白エビ(シラエビ)・富山水揚げされたばかりの白エビは、半透明の淡いピンク色。宝石のように輝くので「富山湾の宝石」と呼ばれます。漁が成り立つほどとれるのは富山湾だけ。すみかは海底谷「あいがめ」のあたりです。
白エビ(シラエビ)・富山いまでこそ宝石扱いですが、白エビは鮮度が落ちやすく、かつては干物や煮干しに加工されてサクラエビの代用品として出回っていました。
白エビの軍艦巻き
白エビの軍艦巻き写真: 7'o'7(CC BY-SA 3.0)
白エビ(シラエビ)小さくて殻がむきにくい白エビ。それが、一度冷凍してから解凍すると殻がむきやすくなると分かり、刺身や寿司で食べられるようになりました。
白エビ(シラエビ)・富山新湊漁協の白エビ漁は「プール制」。漁船が2班に分かれて1日交代で出漁し、水揚げ量を調整しています。

車輪のように曲がるから車海老

車海老(クルマエビ)丸まった姿に、黒い横縞。これが車輪を思わせるから車海老。『和漢三才図会』にも、煮ると紅色になって車輪のように曲がる、と書かれています。
車海老(クルマエビ)・熊本エビの養殖は、クルマエビから始まりました。1933年に藤永元作が熊本県でクルマエビの孵化に成功し、1964年には種苗生産の技術が確立されます。
車海老(クルマエビ)かつては芝・品川沖でとれたクルマエビも、いまの東京湾ではわずかしかとれません。それでも養殖の技術が確立したおかげで、昔よりずっと安くなりました。
車海老(クルマエビ)クルマエビは大きくても小さくても、味はあまり変わりません。むしろ小振りを好む傾向もあるほど。火を通しても強く締まらず、きれいな赤に発色します。
車海老(クルマエビ)大きなクルマエビを、尾頭つきのまま握る店もあります。
車海老(クルマエビ)築地のエビ専門店は、天ぷら用の10cm足らずの「まき」から、天然の30cmを超えるものまで、用途に合わせて大きさをそろえていました。

頭と殻は、みそ汁へ

車海老(クルマエビ)クルマエビのおいしさをいちばん素直に味わえるのは、煮えび(ゆでエビ)です。塩水で1尾ずつ丹念にゆで、まだ熱いうちに殻をむいて食べると、甘みが増す。みそもうまい。
ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)トヤマエビの醤油漬けの一例。むき身にして切り、外子があれば加え、醤油・みりんで和えて一日寝かせます。1週間ほどもちます。
ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)刺身にしたあとのトヤマエビの頭と殻は、捨てずにみそ汁へ。水からつぶしながら煮出すと、濃厚なだしが出ます。
白エビ(シラエビ)白エビは揚げると殻が香ばしくなるので、季節の野菜と強火でさくっとかき揚げにするのが定番です。安かったころの富山では、そうめんのだしにも使っていました。

値段

回転寿司・街の寿司屋・高級店のおまかせを並べて比べる

回転寿司

  • くら寿司「えび」1皿(一皿110円からの店)110円2026-09-25 時点
  • くら寿司「生えび」1皿(一皿110円からの店)120円2026-09-25 時点
  • くら寿司「赤えび(一貫)」(一皿110円からの店)180円2026-09-25 時点
  • スシロー「赤えび」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)120円2026-09-29 時点
  • はま寿司「天然赤えび」1皿(税込)176円2026-09-29 時点

大衆店

  • 築地玉寿司 築地本店「海老」お好み1貫(税込)275円2026-09-29 時点
  • 築地玉寿司 築地本店「活車海老」お好み1貫(税込)990円2026-09-29 時点
  • 築地玉寿司 築地本店「ぼたん海老」お好み1貫(税込)1,430円2026-09-29 時点
  • 築地すし鮮「ボイル車海老」おこのみ1貫(税込)696円2026-09-29 時点
  • すしざんまい「海老」1個(グランドメニュー、税込)217円2026-09-29 時点
  • すしざんまい「赤海老」1個(グランドメニュー、税込)327円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「ボイル海老」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)132円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「大赤海老」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)275円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「ぼたん海老」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)660円2026-09-29 時点
  • 芦屋 波沙鮓「車海老(おどり)」にぎり1貫(税込。本体価格1,300円)1,430円2026-09-30 時点
  • 芦屋 波沙鮓「車海老(ボイル)」にぎり1貫(税込。本体価格1,200円)1,320円2026-09-30 時点
  • 芦屋 波沙鮓「ボタン海老」にぎり1貫(税込。本体価格1,200円)1,320円2026-09-30 時点
  • 富山 蛇の目寿司「白エビ」にぎり1個(税込。その日の仕入れや季節で変わる)660円2026-09-30 時点

市場

  • クルマエビ(主に養殖)の卸値1kgあたり5,000〜1万円
  • トヤマエビ(ぼたんえび)の卸値安くても1kgあたり2,000円以上、2万円を超えることもある

『江戸前の旬』では

78巻の紹介文は、江戸前を代表する食材の先頭にエビを置きます。109巻の春から初夏の極上のタネには、白エビと本エビが並びます。

読者の感想によれば、14巻には伊勢海老の天ぷらの衣をはがした握り、16巻には酔っ払い海老と酒煎りの対決、44巻には金婚式を祝う大きな車海老の寿司、64巻には茹でたての車海老の握りが出てきます。

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
サイマキ(細巻・鞘巻)関東の市場車海老(クルマエビ)。小振りのクルマエビ。模様が刀の鞘を紐で巻いたように見えることから。
ホウサイエビ(宝彩海老)三重県志摩市安乗車海老(クルマエビ)。昭和初めに「細い網」でとった天然クルマエビ。「ほそいあみ」がなまった。
ボタンエビ北海道・新潟県糸魚川市・東京都など関東周辺ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)。トヤマエビの一般的な呼び名。
ガシエビ新潟県糸魚川市能生ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)
タラバエビ新潟県新潟市ぼたんえび(トヤマエビ/ボタンエビ)
シロエビ富山県・関東などの市場白エビ(シラエビ)
ベッコウエビ(鼈甲蝦)富山県白エビ(シラエビ)

次に読みたくなる

出てきた寿司ことば

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