寿司のデータベース

品書き / 白身

ヒラメ鮃

ひらめ/Olive flounder (Bastard halibut)

ヒラメ・カレイの仲間で、いちばん高値が付く白身の高級魚。身はあっさりと上品です。目は体の左側にあって、「左ヒラメに右カレイ」で見分けます。背鰭と尻鰭の付け根の身は「縁側(えんがわ)」。身より脂ののりが強く、これがまた珍重される部位です。

ヒラメ(上越市立水族博物館うみがたり)
ヒラメ(上越市立水族博物館うみがたり)写真: Totti(CC BY-SA 4.0)
ヒラメの握り
ヒラメの握り写真: City Foodsters(CC BY 2.0)

旬

「寒平目」の名のとおり、旬は冬。50cm前後より大きいものは、本州以南なら秋から冬、北海道なら秋から初夏までがうまい。50cm以下は、一年中あまり味が変わりません。

旬 出回る時期

左ヒラメに、右向きが一匹

歌川広重「魚づくし」のヒラメとメバル
歌川広重「魚づくし」のヒラメとメバル写真: 歌川広重(メトロポリタン美術館蔵)(CC0)
ヒラメは目が両方とも体の左側。「左ヒラメに右カレイ」と言って、カレイと見分けます。ただし左側に目があるカレイもいるので、左に目があれば全部ヒラメ、とはいきません。
茨城2023年11月3日、茨城県鹿嶋市の沖合で、なんと右向きのヒラメが釣り上げられました。アクアワールド・大洗で展示されることになった一匹です。
ヒラメの身が、ゼリー状に溶けたようになっていることがあります。体内に寄生した胞子虫が酵素を出して、筋肉を消化してしまうのです。

寒平目と、夏の「クソ平目」

「寒平目」の言葉どおり、ヒラメの旬は真冬。夏が旬のカレイとは正反対です。寿司屋では夏になると、鯛がカレイやスズキに入れ替わります。
産卵後の夏場は、「クソ平目」とまで呼ばれます。実際は、冬と比べて見劣りする程度。夏でもうまい魚の代表格です。
関東晩春から初夏、大型のヒラメはがくんと安くなります。この時期に好まれるのは、小ぶりの活魚「そげ」。

五枚におろす

ヒラメやカレイは「五枚おろし」にします。背と腹の鱗を包丁ですいて内臓を出し、鰭の付け根に沿って包丁を入れる。縁側はこのとき、身とは別に取れます。

江戸では、大きいのがヒラメ

江戸時代の『物類称呼』を開くと、呼び名はばらばら。畿内・四国ではヒラメもカレイも「かれい」、江戸では大きいものを「ひらめ」、小さいものを「かれい」と呼んだ。常陸・上総・下総では逆で、大きいものが鰈、小さいものが平目。
「ヒラメ」は、もともと魚河岸など、東京近郊の言葉でした。多くの地域では「大がれい」「大口ガレイ」など、「かれい」と呼ぶほうが多かったのです。
「ひら」は平たい、「め」は魚に付く接尾語。つまり、体の平たい魚という名前です。
谷崎潤一郎の『幼少時代』に、比目魚・鰈・鰺などは皆煮つけで食べたが、煮肴は嫌いだった、というくだりがあります。

北前船の昆布で締める

ヒラメ昆布締めの握り(スシロー)
ヒラメ昆布締めの握り(スシロー)写真: RuinDig/Yuki Uchida(CC BY 4.0)
富山富山県の「昆布〆」は、刺身を昆布で挟んで寝かせたもの。昆布が余分な水分を吸い、昆布の旨みが身に移ります。生まれは江戸時代、北前船が運んできた北海道の昆布と、富山湾の魚との出会いから。定番はカジキ(サス)ですが、タイやヒラメなどの白身魚も使います。
家で白身魚の昆布締めを作る手順を、鯛の場合で紹介します。さくに薄く塩をして10分置き、あぶって切った昆布で挟み、ラップできつく包んで、冷蔵庫で半日〜1日。昆布は真昆布か利尻昆布がよく、日高昆布は昆布臭くなるので避けます。富山では、ヒラメも昆布〆の定番の1つ。
厚生労働省は、アニサキスが寄生する魚介類の例にヒラメも挙げています。生で食べるなら頭に入れておきたい。

大分の養殖、青森の県の魚

大分ヒラメの養殖生産量で、都道府県別の1位は大分県。養殖のブランドヒラメに「かぼすヒラメ」があります。
青森青森県の「県の魚」は、ヒラメです。

値段

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大衆店

  • 築地すし鮮「ひらめ」おこのみ1貫(税込)442円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「ひらめ(季節商品)」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)385円2026-09-29 時点
  • 富山 蛇の目寿司「平目」にぎり1個(税込。その日の仕入れや季節で変わる)330円2026-09-30 時点

市場

  • ヒラメの市場での値の付き方(東京など)天然の活魚がいちばん高く、養殖はやや高値安定、野締めは安い。晩春〜初夏の大型は非常に安い(金額の記載なし)

『江戸前の旬』では

38巻では、産卵して味が落ちる「三月ヒラメ」の蘊蓄を語る客に、鹿野課長が、四月までならおいしいと口を出して言い合いになります。旬は課長を助けるために、青森産のヒラメを手に入れる。95巻には「ヒラメ信仰」と題した話があります。連載の初めのころには、第13話「ヒラメとカレイ」、第27話「ソゲ」。ソゲは、関東で若いヒラメを呼ぶ名前です。

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
ソゲ→オオソゲ→ヒラメ関東(千葉県、東京都、神奈川県)1kg以下をソゲ、2kgくらいまでを大ソゲ、それ以上をヒラメ
テックイ北海道
カレ関西・四国・九州、大阪、和歌山県南部
オオグチガレイ(大口鰈)東北・関西、和歌山県串本、兵庫県明石市、広島県、徳島県、愛媛県宇和島、福岡県志賀島
ハス静岡県浜名湖、愛知県愛知県では大型
ヒダリグチ山口県周防、有明海
ホンガレイ和歌山県田辺、徳島県
メビキ富山県富山・打出
カタヒラウオ鹿児島県種子島

次に読みたくなる

ヒラメとつながるタネ

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