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品書き / 郷土寿司

こけら寿司

こけらずし/Kokerazushi (layered pressed sushi of Kochi, Wakayama and Mie)

木枠にシャリと色とりどりの具を何段も重ねて押し、箱のまま切り分ける押し寿司。高知の東洋町、和歌山、三重の東紀州で、祭りや祝いの席のたびに作られてきました。

こけら板か、木くずか

名前の由来には、いくつか説があります。寿司を押す木枠に、屋根をふく「こけら板」を使ったから。材木を削るときに出る木くずの「こけら」に見た目が似ているから。こけら落としの席に出したから。こけらぶきの屋根のように、具を1枚ずつずらして重ねて盛るから。
和歌山焼いてほぐした魚やしいたけ、にんじん、卵をシャリにのせ、木枠で押し固める。押し寿司や箱寿司の原型とも言われる寿司です。

喜びを重ねる、高知のこけら寿司

高知高知県東洋町のこけら寿司は、四角い木枠にシャリと具を次々に重ねる、デコレーションケーキのようにカラフルな押し寿司です。具を幾重にも重ねる姿が「喜びを重ねる」に通じる縁起物で、祝いごとや神事に欠かせない。およそ130年の伝統があるとされ、大きなものは米を5升も使います。具は入るものの、目的はとにかく米をおなかいっぱい食べることでした。
高知高知では、魚の使い方に東西の違いがあります。東部では、焼いてほぐした魚を酢に浸し、その酢をすし酢に使う。これを「酢にごし」と呼びます。西部では、魚の身をそのままシャリに混ぜる「酢ころし」。西部では、魚がきれいに蒸し焼きになるよう、濡れた新聞紙で巻いて焼き、身に焦げをつけません。
高知東洋町白浜では、毎年1月に「こけらまつり」が開かれ、こけら寿司がふるまわれます。昭和61年(1986年)には「全国おにぎり100選」にも選ばれました。

トントンずし、和歌山

和歌山和歌山では、土地ごとに具が変わります。和歌山市の田ノ浦漁港のあたりでは、魚の供養と豊漁を祈る夏祭りに、ヒメジやエソのこけら寿司をふるまった。雑賀崎では底びき網でとれるエソのそぼろを使い、身を包丁でトントン叩いて柔らかくするので「トントンずし」とも呼びます。松江ではエビやタイのほぐし身とシャリを幾重にも重ね、那智勝浦町では黒豆や川エビ、高野豆腐を散らして、夏祭りのころはバショウの葉、秋祭りや正月は高菜の葉で段を仕切ります。硬くなったら、焼いて食べるのもまたおいしい。

具は奇数の5種類、三重の東紀州

三重三重県の東紀州では、具は5種類。奇数にして彩りよく仕上げ、そのうち1種は必ず魚を使い、しめサバやサンマ、アジなど旬の魚を酢の物にします。シャリ、具、葉を3段か5段重ねて押し、段の仕切りには山いちごや花みょうがの葉。葉のにおいが寿司にしみて味を引き立て、腐りにくくする働きもあるとされます。
三重押し寿司がこれほど発達したのは、東紀州の豊かな木材、主に檜で作ったすし型があったから、と見られています。型は米1升用、5合用、3合用とさまざまで、尾鷲市の須賀利地区では2升半用の大きな型も使われる。祭りや結婚式、還暦や厄祝いにはたくさん作って切り分け、親戚や近所に配って一緒に祝います。1年じゅう、どこかで誰かが作っているほどなじみのある料理です。

作り方を伝える

高知高知では、昔は家で作るものでしたが、いまはスーパーなどで買うことが多くなりました。2018年には官民で「土佐寿司を盛り上げる会」ができ、高知の寿司を広める活動をしています。和歌山市でも、郷土料理の教室で作り方を地域の人や学生に伝えています。

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