寿司のデータベース

品書き / 白身

タイ鯛

たい/Sea bream

寿司屋で「鯛」といえば、ふつうはマダイ。透明感のある白身に、赤い血合い。いちばん味がいいのは、秋の10月ごろから冬にかけてです。けれど店には、キンメダイ、レンコダイ(キダイ)、クロダイも並びます。意外なのは、キンメダイがタイ科ではなくキンメダイ目の魚だということ。タイ科でもないのに「鯛」を名乗る魚は、「あやかり鯛」と呼ぶ。マダイは、大型なら白身、小型なら光り物として扱います。

マダイ(兵庫県の魚屋で購入)
マダイ(兵庫県の魚屋で購入)写真: Miya(CC BY-SA 3.0)
桜鯛梅おろしの握り(立喰い寿司ABURI百貫 ペリエ海浜幕張店)
桜鯛梅おろしの握り(立喰い寿司ABURI百貫 ペリエ海浜幕張店)写真: RuinDig/Yuki Uchida(CC BY 4.0)

旬

マダイ(真鯛)
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キダイ(連子鯛)
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クロダイ(チヌ)
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マダイの旬は秋から初夏。キンメダイは一年中で、クロダイは春〜初夏と初秋〜初冬の2回。同じ「鯛」でも、旬の山は別々です。

旬 出回る時期

種類

マダイ(真鯛)

別名 ホンダイ、サクラダイ

タイ類の代表。東京の市場で、チダイやキダイと区別するために「真」を付けた。それがそのまま標準和名「真鯛」になりました。近年は養殖が盛んで、天然ものの値段も下がり気味。高値が付くのは、明石鯛・鳴門鯛・佐島鯛など一部の産地です。

旬は秋から初夏。いちばん味がいいのは、10月ごろから冬にかけてです。産卵後の初夏は「麦わら鯛」と呼ばれ、味が落ちる。

キダイ(連子鯛)

別名 レンコダイ、レンコ、ハナオレダイ

マダイよりひとまわり小さく、黄色みがかったタイ科の魚。マダイの代わりとして、婚礼の折り詰めの塩焼きなどに使われてきました。大型は白身、小型は光り物として扱います。

一年を通して、おいしいものが手に入る魚。秋に産卵する群れは春から秋、春に産卵する群れは秋から春が食べごろです。

クロダイ(チヌ)

別名 チヌ、カイズ

内湾や河口の浅場にすむタイ科の魚。古くはマダイに次ぐうまさと評された魚なのに、近年は人気がなく値も安い。関東では不祝儀に使うことから、縁起が悪いと考える向きもあります。

旬は年に2回。春から初夏と、初秋から初冬です。

鯛にあやかる魚たち

タイ科でもないのに「鯛」と付く魚は、じつにたくさんいます。イシダイ、アマダイ、マツダイ、スズメダイ。こうした魚をまとめて「あやかり鯛(肖り鯛)」と呼ぶのです。

桜鯛から麦わら鯛へ

マダイ(真鯛)・関西関西では、季節ごとに呼び名が変わります。春は「桜鯛」、初夏は「魚島の鯛」、秋は「紅葉鯛」。大阪では、産卵期にいちばん取れる時期のマダイを贈ったり食べたりします。「魚島」とは、島ができるほど取れた、という意味。
マダイ(真鯛)初夏、麦の刈り入れのころは、ちょうどマダイの産卵のあと。身が痩せて、味が落ちる。そこでこの時期のマダイを「麦わら鯛」と呼びます。
マダイ(真鯛)市場でチダイやキダイと区別するとき、地域によって「真」を付けたり「本」を付けたりします。東京では主に「真」を使った。だから標準和名は「真鯛」になりました。
「たい」の語源は、ひとつに決まっていません。平たい魚という意味の「平魚(たいらうお)」から来たという見方もあれば、「めでたい」の「たい」から来たという見方もあります。

養殖は鼻の穴でわかる?

マダイ(真鯛)天然マダイの鼻の穴は、前後に2つ開いています。ところが養殖マダイでは、この2つがつながって1つになっていることが多い。ただし養殖でも2つに分かれる個体はいるので、鼻の穴だけで100パーセント見分けられるわけではありません。
マダイ(真鯛)・徳島鳴門海峡や明石海峡あたりのマダイには、尻鰭の近くの骨がラッキョウ形にふくらんだ「鳴門骨」がしばしば見つかります。急流を泳ぐための変形です。
マダイ(真鯛)「エビでタイを釣る」は、小さなもので高価なものを手に入れるたとえ。ところがマダイは、養殖が広まった今、決して高い魚ではありません。ことわざのほうが、少し時代に取り残されています。

おろし立ては握らない

マダイ(真鯛)・東京人形町「㐂寿司」では、朝仕入れたタイをすぐに神経〆にして持ち帰っておろし、皮を引いて1日ねかせます。おろし立ての身は「活かって」いて、寿司ダネには向かない。食べ頃は翌日の昼以降です。
マダイ(真鯛)3日ほどねかせたタイを、昆布で締めた握りを出す店もあります。水分が抜けてから昆布で包むので、旨味をしっかり吸って、ねっとりした食感に。1日ねかせただけのものとは、味が違います。
マダイ(真鯛)・兵庫仕入れを明石海峡の「明石の鯛」か、対岸の「淡路の鯛」の一本釣りに絞る店もあります。握りは厚すぎず薄すぎずに切り、わさびと煮切り。最後に酢橘を1滴たらして仕上げます。
家で鯛の昆布締めを作るなら、まずさくの両面に薄く塩をふって10分置きます(さく150gで塩約1g)。昆布はあぶって切り、さくを挟んでラップできつく包む。冷蔵庫で最低半日、できれば1日なじませてください。刺身に切ってから締めるなら、軽い重しをして1〜5時間が目安です。
昆布締めの昆布は、真昆布か利尻昆布がおすすめ。日高昆布は昆布臭くなるので避ける。旨みを強くしたければ羅臼昆布を。一晩置くと透明感が増して、旨みの塊のようになります。

春子と連子

マダイやキダイは、大きければ白身、小さければ光り物として扱います。小型のマダイは、関東の市場や料理店で「カスゴ(春日子)」の名で呼ばれます。
マダイ(真鯛)「春子(かすご)」は、マダイやチダイの幼魚を、小肌と同じように塩と酢で締めたもの。仕込みの一例を挙げると、15cmほどの小鯛をおろし、塩をして10分ほど置く。酢と砂糖を合わせた汁にくぐらせたら、昆布で約1時間半締めます。身が薄く、締めると縮むので、甘いおぼろをかませて握る。
「春子」の名の由来で有力なのは、春日神社に神饌として奉納したことから、というもの。名前からつい春が旬だと思いがちですが、実際はそうではありません。
キダイ(連子鯛)キダイの市場名「連子鯛(レンコダイ)」は、たくさん取れて、連なるように揚がる魚という意味です。
キダイ(連子鯛)婚礼などの折り詰めに入る鯛の塩焼き。古くは、あれはキダイでした。あまり大きくならないので、重宝されたのです。

睨み鯛、鯛素麺、鯛麺

関西正月に飾る鯛の塩焼きは、すぐには食べず、ただ見ているだけ。だから「睨み鯛」。京都・大阪では三が日まで飾って、4日から食べ始めます。
鯛そうめん(滋賀県日野町の郷土料理)
鯛そうめん(滋賀県日野町の郷土料理)写真: Asturio Cantabrio(CC BY-SA 4.0)
マダイ(真鯛)・滋賀滋賀県日野町では、5月3日の日野祭に、各家庭で「鯛素麺」を作ります。マダイの煮つけの煮汁で、素麺を食べるのです。
マダイ(真鯛)・大分大分県姫島村の「鯛麺」は、うどんの上に、煮込んだタイを1匹丸ごとのせる祝いの料理。タイはつがいになると離れない魚、という言い伝えにあやかり、長いうどんには、付き合いが末長く続くようにとの思いが込められています。
宇和島の鯛めし(松山市の店)
宇和島の鯛めし(松山市の店)写真: Fred Cherrygarden(CC BY-SA 4.0)
マダイ(真鯛)・愛媛「鯛飯」は、土地によって別の料理です。愛媛県南西部(八幡浜・宇和島など)では、マダイの刺身を卵入りの漬け地にくぐらせて、ご飯にのせる。愛媛県東部や高知県では、マダイを丸ごと炊き込んだご飯のことを「鯛飯」と呼びます。

茅渟の海のクロダイ

クロダイ(チヌ)・大阪霊亀2年(716年)、元正天皇が和泉離宮(珍努宮)を造営した理由の1つに、特産のクロダイ(ちぬ)を味わうことが挙げられていました。大阪湾は、古くは「茅渟(ちぬ)の海」と呼ばれた海です。
クロダイ(チヌ)クロダイは、完全な淡水域にまで上ってくる魚です。冷蔵庫の無い時代の市場では、真水で生かしておけるのが重宝され、関東では夏の白身の高級魚でした。
クロダイ(チヌ)・神奈川神奈川県小田原市などでは、葬儀の精進落としにクロダイを使い、神式の葬儀にも供えることが多い。一方でマダイも、神式の葬儀に供えられます。

値段

回転寿司・街の寿司屋・高級店のおまかせを並べて比べる

回転寿司

  • はま寿司「活〆まだい(四国・九州産)」176円2026-09-25 時点
  • くら寿司「熟成 真鯛(一貫)」(一皿110円からの店)140円2026-09-25 時点
  • スシロー「活〆真鯛」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)200円2026-09-29 時点

大衆店

  • 築地玉寿司 築地本店「たい」お好み1貫(税込)330円2026-09-29 時点
  • 築地すし鮮「真だい」おこのみ1貫(税込)442円2026-09-29 時点
  • すしざんまい「たい」1個(グランドメニュー、税込)327円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「たい」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)275円2026-09-29 時点
  • 芦屋 波沙鮓「たい」にぎり1貫(税込。本体価格600円)660円2026-09-30 時点

『江戸前の旬』では

『江戸前の旬』は、真鯛から始まります。連載の第1話と第2話は前編と後編の「真鯛」。第28話は郷土の寿司の「小鯛寿司」、第58話と第59話は「真鯛勝負」。

1巻の紹介文は、真鯛をけなす息子と、真鯛に特別な思いを持つ老母の話。37巻では、東堂会長からタイとたくあんを合わせた「タイの香物酢」を握りにしてほしいと頼まれ、握りではタイとたくあんが調和せずに旬が苦戦します。読者の感想をたどると、11巻には小鯛の雀寿司、21巻には鯛の骨の「鯛中鯛」、74巻には琥珀色の身をした瀬戸内の桜鯛。128巻には、弟子の和彦がこつこつ仕上げたマダイの白醤油ヅケが出てきます。

87巻の「七福寿司」は、七福神を寿司に見立てた話。恵比寿様に当てるのは、もちろん鯛です。

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
ホンダイ(本鯛)新潟県佐渡、静岡県牧之原市、和歌山、大阪市場、兵庫県神戸・明石、広島マダイ(真鯛)。チダイ、キダイと区別するため
サクラダイ→ウオジマノタイ→モミジダイ関西マダイ(真鯛)。春の桜鯛、初夏の魚島の鯛、秋の紅葉鯛
カスゴ(春日子)関東など市場や料理店マダイ(真鯛)。小型
チャリコ三重県鳥羽市小浜、関西マダイ(真鯛)。小型
カツラダイ(葛鯛)千葉県内房マダイ(真鯛)。葛網漁で取ったマダイ。将軍家へ献上された
ヘイケ豊前マダイ(真鯛)。『物類称呼』。伊勢平氏の旗が赤だったためか
レンコダイ(連子鯛)関西若狭以西、京都、兵庫、鳥取、島根、徳島などキダイ(連子鯛)。たくさん取れて連なるように揚がる意味
バンジロ/バジロ(飯代)鳥取県米子、島根県、山口県萩・下関などキダイ(連子鯛)。米の飯が高価だった昔、安い魚をご飯の代わりにしたことから
チョウセンダイ関西キダイ(連子鯛)
チヌ関西など多くの地域クロダイ(チヌ)。出雲風土記に「鎮仁」、和名抄に「知沼」
チンチン→カイズ→クロダイ関東クロダイ(チヌ)。出世魚。25〜30cm弱がカイズ

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