「年魚」とも書くとおり、寿命はほぼ1年。秋に川の中流で生まれるとすぐ海へ下り、春に川を上ってくる。海では小エビなどを食べ、川に落ち着くと石についた藻を食べるようになります。そのための櫛のような歯まで持っている。産卵を終えた親は死にますが、一部は生き残るものもいます。
栄養の少ない藻を確保するため、鮎は縄張りを持ち、入ってきた鮎を攻撃します。この習性を逆手にとったのが「友釣り」。鮎からはスイカの香りがする。香りも味も、とれる川によって違います。
「あゆ」の元は「あひ」。「あ」は愛称、「ひ」は魚を表す語尾で、愛らしく味のよい魚という意味です。神前に贄として供えた「あえ」から、秋に川を下る「あゆる(落ちる)」から、という見方もあります。
1913年、魚類学者の石川千代松が、大きくならない琵琶湖の鮎を東京の多摩川に放し、大きく育てることに成功しました。ここから全国の川への湖産鮎の放流が始まります。ダムや開発で海から上れる鮎が減ったいま、放流は欠かせない。
鮎は、ひと夏で呼び名が変わる魚です。禁漁が明ける6月ごろ、まだ縄張りを持たない8〜15cmの小ぶりなものが「若鮎」。香りが高く、脂ものっています。秋、産卵を控えて川を下るのが「落ち鮎」で、秋の季語。黒い婚姻色が出た雄は「サビアユ」、まれに年を越して生き残ったものは「フルセ」と呼ばれます。
子持ちの落ち鮎が手に入ったら、卵のぷちぷちを味わいたい。甘露煮にするか、塩焼きにしてから研いだ米にのせ、昆布だしと醤油少々で炊き込んで鮎めしに。炊き上がったら身をほぐして混ぜます。