寿司のデータベース

品書き / 回転寿司の定番

かにかま蟹蒲

かにかま/Kanikama (imitation crab)

魚のすり身で作る、カニの脚そっくりのかまぼこ。1972年、石川県七尾市のスギヨが、人工クラゲ作りの失敗から生み出しました。回転寿司では握りにも軍艦にもサラダにもなり、海の向こうではカリフォルニアロールの具として、世界中で食べられています。

スティック形のかにかま(2006年)
スティック形のかにかま(2006年)写真: Natto(日本語版ウィキペディア)(CC BY-SA 3.0)
かっぱ寿司の、かにかまをマヨネーズで和えた軍艦(2021年1月)
かっぱ寿司の、かにかまをマヨネーズで和えた軍艦(2021年1月)写真: 円周率3パーセント(CC BY-SA 4.0)

クラゲになりそこねた

石川かにかまは、クラゲになりそこねた食べ物です。1960年代の後半、中国産のクラゲの輸入が激減し、困った珍味業界から能登のスギヨに「人工クラゲ」の注文が来た。見た目も食感もいったんは再現できたのに、醤油をつけるとコリコリ感が消えて柔らかくなってしまう。
石川試行錯誤のうちに、刻んだ失敗作を束ねて食べてみたら、カニの脚の身にそっくりだった。カニが身近な能登で育った人の発見です。味や色を付けやすいように本業の練り物の原料・すり身を使うことにしてから開発は順調に進み、1972年、世界初のかにかま「かにあし」が生まれました。ほぐしたカニの身のような、フレーク状でした。
人工クラゲのほうは、日中国交正常化でクラゲの輸入が再び始まり、需要が消えていきました。完成していたら、すぐに売れなくなっていたかもしれない。失敗したおかげで、かにかまが残りました。
売り出しは順調ではありませんでした。卸には「刻んだ蒲鉾なんか売れない」と門前払い。築地市場で扱われるようになると爆発的に売れましたが、今度は消費者から「偽物」「騙された」の声。蒲鉾と書いてあっても、見た目がカニそっくりだったからです。

フレークか、棒か、カニ入りか

棒の形とほぐした形のかにかま(フランスでは「スリミ」と呼ぶ)
棒の形とほぐした形のかにかま(フランスでは「スリミ」と呼ぶ)写真: Frrrrred(CC BY-SA 3.0)
広島いま見慣れた棒の形は、広島の大崎水産から。カニの身を詰めたきゅうりを魚肉で巻く「かに胡瓜」を作るうち、魚肉にカニの汁が混ざってカニそっくりの味になった。これを麺のように細くして束ねたのが、1974年発売の「かにスチック」。世界で初めての棒状のかにかまです。ところが、カニがほとんど入っていないのにカニを名乗るのはいけないと公正取引委員会に叱られ、「フィッシュスチック」に改名しました。
元祖を名乗る声はほかにもあります。大崎水産は自社を「カニカマの元祖」としていますし、大洋漁業は、1973年にズワイガニの身にスケトウダラのすり身を混ぜて出した「カニ棒」がかにかまの先祖だとしています。フレークのスギヨ、棒の大崎水産、カニ入りの大洋漁業。どの形を「かにかま」と呼ぶかで、元祖が変わります。
「かにかま」という呼び名は、意外と新しい。1983年の週刊誌の記事では「カニスチック」「カニカマボコ」と書かれていて、いまの呼び方が定着したのは1980年代の後半以降とみられます。回転寿司の品書きでも表記はばらばらで、くら寿司は「カニカマ」、魚べいは「かにかま」、かっぱ寿司は「かにカマ」、スシローは「かに風」、はま寿司の手巻きセットには「かにカマボコ」とあります(2026年9月確認)。
山口かにかまを世界に広めた陰の主役は、機械です。1979年、山口県宇部市の食品機械メーカー・ヤナギヤがカニカマの製造装置を作り、大量生産ができるようになった。1980年代には海外へも輸出を始め、いまや世界シェアは7割に届きます(2023年時点)。

握りにも、軍艦にも

回転寿司では、ビントロやうなぎ、サーモンと並んで、回転寿司に特有の魚介のタネに数えられます。握りにすればくら寿司の「極旨カニカマ」や魚べいの「かにかま」、チーズやマヨネーズをのせて炙る皿もある。刻んでマヨネーズで和えれば、スシローの「かに風サラダ軍艦」、かっぱ寿司の「かにカマサラダ軍艦」です。
かっぱ寿司の名物サラダ軍艦も、イカゲソとかにかまをマヨネーズで和えたもの。2024年3〜4月には、揚げたかにかまを1本まるごとのせた「かにかま天1本にぎり」も1貫110円で出ました。

「kani」と言えば、かにかま

アメリカのカリフォルニアロールでは、本物のカニが使われることはほとんどありません。巻くのはかにかまとアボカド。地域によっては、スシバーで英語の蟹「crab」に対して「kani」と言えばかにかまのこと、という使い方まで定着しています。
2015年1月の時点で、日本のかにかまの消費量は年5万トン、世界では50万トン。いちばん食べているのはヨーロッパで、1位がフランス、2位がスペインです。生産量の世界一はリトアニア。スギヨは1976年にアメリカへ初めてサンプルを送り、その後ワシントン州に工場を建てました。
タイでは、かにかまは寿司のタネとしても刺身の一種としても定番。本物のカニでないことは誰もが承知のうえで、ごく普通の海の幸として、スーパーでは必ず魚売り場に並んでいます。

台所のかにかま寿司

家で寿司にするなら、ラップを使うのが手軽です。正方形に切ったラップの真ん中にかにかま5本をすき間なく並べ、醤油を少したらしたマヨネーズ、大葉、シャリの順に重ねて、ラップで包んで形を整える。シャリに刻んだ新生姜と炒りごまを混ぜると、さっぱりします。
軍艦にするなら、かにかま4本を縦に3本に割いてから細かく刻み、塩もみしたキュウリの角切りと油を切ったツナ缶1缶を合わせ、マヨネーズ大さじ2、砂糖大さじ1、醤油と酢を小さじ1ずつで和えます。

値段

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回転寿司

  • くら寿司「極旨カニカマ」1皿(一皿110円からの店。一部の店舗は価格が異なる)110円2026-09-29 時点
  • スシロー「かに風サラダ軍艦」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)120円2026-09-29 時点
  • かっぱ寿司「かにカマサラダ軍艦」1皿(店内飲食の税込。一部店舗は価格が異なる)110円2026-09-29 時点
  • 魚べい「かにかま」1皿(東久留米店、税込。店舗により価格が異なる)110円2026-09-29 時点
  • 魚べい「かにかまチーズ炙り」1皿(東久留米店、税込。店舗により価格が異なる)110円2026-09-29 時点

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