かにかま蟹蒲
かにかま/Kanikama (imitation crab)
魚のすり身で作る、カニの脚そっくりのかまぼこ。1972年、石川県七尾市のスギヨが、人工クラゲ作りの失敗から生み出しました。回転寿司では握りにも軍艦にもサラダにもなり、海の向こうではカリフォルニアロールの具として、世界中で食べられています。


クラゲになりそこねた
石川かにかまは、クラゲになりそこねた食べ物です。1960年代の後半、中国産のクラゲの輸入が激減し、困った珍味業界から能登のスギヨに「人工クラゲ」の注文が来た。見た目も食感もいったんは再現できたのに、醤油をつけるとコリコリ感が消えて柔らかくなってしまう。
石川試行錯誤のうちに、刻んだ失敗作を束ねて食べてみたら、カニの脚の身にそっくりだった。カニが身近な能登で育った人の発見です。味や色を付けやすいように本業の練り物の原料・すり身を使うことにしてから開発は順調に進み、1972年、世界初のかにかま「かにあし」が生まれました。ほぐしたカニの身のような、フレーク状でした。
人工クラゲのほうは、日中国交正常化でクラゲの輸入が再び始まり、需要が消えていきました。完成していたら、すぐに売れなくなっていたかもしれない。失敗したおかげで、かにかまが残りました。
売り出しは順調ではありませんでした。卸には「刻んだ蒲鉾なんか売れない」と門前払い。築地市場で扱われるようになると爆発的に売れましたが、今度は消費者から「偽物」「騙された」の声。蒲鉾と書いてあっても、見た目がカニそっくりだったからです。
フレークか、棒か、カニ入りか

元祖を名乗る声はほかにもあります。大崎水産は自社を「カニカマの元祖」としていますし、大洋漁業は、1973年にズワイガニの身にスケトウダラのすり身を混ぜて出した「カニ棒」がかにかまの先祖だとしています。フレークのスギヨ、棒の大崎水産、カニ入りの大洋漁業。どの形を「かにかま」と呼ぶかで、元祖が変わります。
「かにかま」という呼び名は、意外と新しい。1983年の週刊誌の記事では「カニスチック」「カニカマボコ」と書かれていて、いまの呼び方が定着したのは1980年代の後半以降とみられます。回転寿司の品書きでも表記はばらばらで、くら寿司は「カニカマ」、魚べいは「かにかま」、かっぱ寿司は「かにカマ」、スシローは「かに風」、はま寿司の手巻きセットには「かにカマボコ」とあります(2026年9月確認)。
山口かにかまを世界に広めた陰の主役は、機械です。1979年、山口県宇部市の食品機械メーカー・ヤナギヤがカニカマの製造装置を作り、大量生産ができるようになった。1980年代には海外へも輸出を始め、いまや世界シェアは7割に届きます(2023年時点)。
握りにも、軍艦にも
「kani」と言えば、かにかま
アメリカのカリフォルニアロールでは、本物のカニが使われることはほとんどありません。巻くのはかにかまとアボカド。地域によっては、スシバーで英語の蟹「crab」に対して「kani」と言えばかにかまのこと、という使い方まで定着しています。
2015年1月の時点で、日本のかにかまの消費量は年5万トン、世界では50万トン。いちばん食べているのはヨーロッパで、1位がフランス、2位がスペインです。生産量の世界一はリトアニア。スギヨは1976年にアメリカへ初めてサンプルを送り、その後ワシントン州に工場を建てました。
タイでは、かにかまは寿司のタネとしても刺身の一種としても定番。本物のカニでないことは誰もが承知のうえで、ごく普通の海の幸として、スーパーでは必ず魚売り場に並んでいます。
台所のかにかま寿司
家で寿司にするなら、ラップを使うのが手軽です。正方形に切ったラップの真ん中にかにかま5本をすき間なく並べ、醤油を少したらしたマヨネーズ、大葉、シャリの順に重ねて、ラップで包んで形を整える。シャリに刻んだ新生姜と炒りごまを混ぜると、さっぱりします。
軍艦にするなら、かにかま4本を縦に3本に割いてから細かく刻み、塩もみしたキュウリの角切りと油を切ったツナ缶1缶を合わせ、マヨネーズ大さじ2、砂糖大さじ1、醤油と酢を小さじ1ずつで和えます。
値段
回転寿司
- くら寿司「極旨カニカマ」1皿(一皿110円からの店。一部の店舗は価格が異なる)110円2026-09-29 時点
- スシロー「かに風サラダ軍艦」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)120円2026-09-29 時点
- かっぱ寿司「かにカマサラダ軍艦」1皿(店内飲食の税込。一部店舗は価格が異なる)110円2026-09-29 時点
- 魚べい「かにかま」1皿(東久留米店、税込。店舗により価格が異なる)110円2026-09-29 時点
- 魚べい「かにかまチーズ炙り」1皿(東久留米店、税込。店舗により価格が異なる)110円2026-09-29 時点
次に読みたくなる
かにかまの寿司ばなし
かにかまとつながるタネ
このページの出典(21件)
- カニカマ誕生50周年 生みの親・スギヨ 4/20からキャンペーン(プレスリリース、2022年4月19日)(株式会社スギヨ)2026-09-29 閲覧
- スギヨの歴史(株式会社スギヨ)2026-09-29 閲覧
- カニカマ|Wikipedia(Wikipedia)2026-09-29 閲覧
- カニカマ物語② 誕生編「かにあし」(2023年8月9日)(株式会社スギヨ(note))2026-09-29 閲覧
- カニよりもカニらしく フィッシュスチック(大崎水産)【動画】(2023年3月15日)(中国新聞デジタル)2026-10-09 閲覧
- 戦後「食品3大発明」の“カニカマ”は人工クラゲの失敗から生まれた(世界を変えた日本発イノベーション カニカマ前編)(日経ビジネス電子版(三河主門))2026-10-09 閲覧
- オオサキブランド|大崎水産(大崎水産)2026-10-09 閲覧
- カニカマ製造装置で世界シェア7割―ヤナギヤ : ニッチな市場でとことん顧客に寄り添う製品開発とメンテナンス(2023年4月19日)(nippon.com)2026-10-09 閲覧
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- 東久留米店のメニュー|魚べい(株式会社Genki Global Dining Concepts)2026-09-29 閲覧
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- 沿革|株式会社ヤナギヤ(ヤナギヤ)2026-10-09 閲覧
- 回転寿司|Wikipedia(Wikipedia)2026-09-29 閲覧
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- かっぱ寿司、1980年代の味を復刻「プレミアムサラダ軍艦」発売(2024年3月18日配信)(食品産業新聞社)2026-09-29 閲覧
- カリフォルニアロールとは|コトバンク(小学館『デジタル大辞泉』、講談社『和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典』)(コトバンク)2026-10-09 閲覧
- カリフォルニアロール|Wikipedia(Wikipedia)2026-09-29 閲覧
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