岡山県
「晴れの国」と呼ばれるほど晴れの日が多い県。瀬戸内海の真ん中にあり、三つの大きな川が栄養を運ぶ海で、のりやかきが育ちます。ハレの日には、まつりずし、ままかりずし、県北の鯖寿司と、寿司が並びます。
ママをカリに行く魚
「ママカリ」は岡山での呼び名で、関東ではサッパと呼ぶニシン科の小魚です。瀬戸内海でとれ、10月ごろが旬で脂がいちばんのる。「ママ(ご飯)をカリ(借り)に行くほどおいしい」から、ママカリと呼ばれるようになった、という話が残っています。酢漬け、刺身、塩焼きと食べ方はさまざま。酢漬けは、漬け始めは骨が硬いのに、漬かるほど柔らかくなって、尾びれまで骨ごと食べられます。
その酢漬けを、握りや押し寿司にしたのが「ままかりずし」。農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」に選ばれ、まつりずしと並んで、祭りや家族の祝いごとに欠かせないハレの料理です。昔は家ごとに漬けましたが、いまは作ったものを買う家が増えた。2008年には、岡山名物のママカリを広める「ままかり普及委員会」ができています。
三つの川が流れ込む海
岡山の海は、瀬戸内海の中央部。吉井川、旭川、高梁川の三大河川から栄養をたっぷり含んだ水が流れ込み、さまざまな魚が集まります。漁船の漁のほか、のりとかきの養殖が盛んです。牡蠣
岡山県での呼び名
| 呼び名 | 一般には | 出典での土地の書き方 |
|---|---|---|
| シラユオ | 白魚 | 岡山県各地 |
| ハリイカ | スミイカ(コウイカ)甲の後端にある針状の突起が体から飛び出していることから。 | 大阪府・兵庫県・岡山県など西日本各地 |
| チガイ(血貝) | 赤貝 | 千葉県富津市・愛知県蒲郡・岡山県日生・山口県宇部市など |
岡山県の食べ方・名産
- サワラ岡山とりわけサワラ好きなのが岡山県。刺し網の漁獲が減ったいまも好んで食べられ、「サワラの相場は岡山で決まる」。そんな言葉まであるほどです。魚屋やスーパーには、切り身、5mmほどの厚さに切って塩を振ったものなど、いろいろな形で並びます。
- サワラ岡山岡山県日生(ひなせ)の「さわらのこうこずし」は、明治の中ごろから豊漁を祝い、漁の安全を願って作られてきた寿司です。そぎ切りにしたサワラに塩をして5〜6分、酢に30分ほど漬ける。シャリに、そのサワラと、せん切りのたくあん(こうこ)、グリーンピースを混ぜ、木の芽を飾ります。しょうぶの節句、祭り、船おろしには必ず作る。
- ちらし寿司岡山岡山のばらずしには、痛快な言い伝えがあります。江戸時代、岡山藩主の池田光政がぜいたくを戒めて「庶民は一汁一菜にせよ」と命じた。そこで庶民は考えた。魚や野菜を寿司の具にしてしまえば、飯のおかずには数えられない。半切り桶のシャリに、味をつけた魚介や野菜を十種あまりも入れて混ぜ込みました。具を桶の底に敷いてシャリで覆い、粗末な飯に見せかけておいて、食べる直前に桶をひっくり返して食卓を飾った、という話も残っています。
- ちらし寿司岡山「岡山ばらずし」「備前ばら寿司」「まつりずし」とも呼ばれ、西日本のばらずしのなかでも具が大きく、品数が多い。サワラ、アナゴ、モガイ、エビ、タコ、タケノコ、ゴボウ。春はサワラやフキ、秋はマツタケと、季節で具が入れ替わります。サワラは軽く塩をしてから合わせ酢に入れ、まわりが白くなったら引き上げる。岡山駅の駅弁「桃太郎の祭りずし」は、このばらずしを詰めたもので、50年以上売れ続けています。
- ちらし寿司岡山6月27日は「ちらし寿司の日」。食品会社のあじかんが2004年に定めた記念日で、池田光政にゆかりのある日を選んでいます。Wikipediaによれば、光政の命日です。倹約令を出した殿様が、ちらしの記念日の主役になってしまった。
- ちらし寿司岡山生の魚を使わない五目は、温めてもおいしい。岡山ではまつりずしを蒸して温めた「ぬくずし」があり、「ぬくい」は岡山の言葉で温かいという意味です。大阪でも、たくさん作って余ったばらずしを翌日に蒸して「蒸しずし(温ずし)」にする。冬場にはよく、蒸し寿司として出てきます。
- 鯖寿司岡山岡山県北部の山あいでも、鯖寿司は秋祭りのごちそうです。生の魚が手に入りにくい山村へ、塩サバは山陰の鳥取から運ばれてきました。秋祭りには一軒で大量にサバを買い込み、たくさん作って親類や知人に配る。祭りが終わると稲刈りなので、多めに作っておいて作業の合間にもつまみました。塩サバは合わせ酢に1〜2日漬け、型箱で押して竹の皮に包み、一昼夜寝かせます。
- 鯖寿司岡山新見のあたりでは、鯖寿司は備中の名物です。海の幸の流通が発達していない時代、山陰でとれて塩漬けにされたサバが、はるばる中国山地を越えて運ばれてきた。そのサバで作る棒寿司は、祭りや祝いの日のごちそうで、いまも受け継がれています。新見の寿司店「寿司一」の「金棒すし・さば包み」は、丸のままのサバを上下に1匹ずつ使って、シャリをサンドウィッチのように挟んだ一品。
このページの出典(13件)
- 中国地方 岡山県|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-30 閲覧
- ママカリの酢漬け 岡山県|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-30 閲覧
- シラウオ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- コウイカ(ハリイカ)|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- アカガイ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- サワラ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- さわらのこうこずし 岡山県|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-25 閲覧
- まつりずし/ばらずし 岡山県|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-29 閲覧
- ばらずし 大阪府|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-29 閲覧
- ちらし寿司|Wikipedia(Wikipedia)2026-09-29 閲覧
- あじかん記念日「巻寿司の日」「ちらし寿司の日」(株式会社あじかん)2026-09-30 閲覧
- さばずし 岡山県|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-29 閲覧
- (有)寿司一:&cafe寿司一|会員紹介|新見市観光協会(新見市観光協会)2026-10-09 閲覧