兵庫県
北は日本海、南は瀬戸内海。二つの海に面した兵庫は、冬の松葉ガニの但馬、明石の魚の棚、朝廷に食べものを納めた淡路島と、海ごとに名物が違う県です。
但馬の松葉ガニ
明石の魚の棚
明石駅の近くの「魚の棚(うおんたな)商店街」には、アーケードに110ほどの店が並びます。店先の板の上には、くねくね動くタコ、跳ねる小エビ、さばいた長いハモ。朝網や昼網で揚がったばかりのものです。タコ鱧
2月から4月、イカナゴの稚魚の漁が解禁になると、店先に並んだイカナゴを醤油と砂糖、しょうがで炊く「くぎ煮」の香りが町に漂います。炊き上がった姿が、さびて曲がった釘に見えるのが名前の由来。地元には「イカナゴの香りがすると春が来る」という言葉があります。
兵庫では、アナゴがウナギより好まれるほど。開いて串に刺し、たれをつけて焼いた「焼きあなご」は、祝いごとの席にも、贈り物にも使われます。ただ、かつて国内有数の漁獲量を誇った播磨灘のアナゴは、近年とれる量が激減しています。地元の漁協は、稚魚の調査や、底引き網の目を大きくするといった資源を守る取り組みを続けています。穴子
御食国の淡路島
兵庫県での呼び名
| 呼び名 | 一般には | 出典での土地の書き方 |
|---|---|---|
| マガツオ | カツオ | 兵庫県豊岡市竹野、熊本県熊本市、鹿児島県種子島 |
| オオグチガレイ(大口鰈) | ヒラメ | 東北・関西、和歌山県串本、兵庫県明石市、広島県、徳島県、愛媛県宇和島、福岡県志賀島 |
| チュウコウ | カワハギ店では「中こう」とも書く | 兵庫県香美町浜坂 |
| ノドグロ/ノドクロ(喉黒) | ノドグロ一般にもこちらの名のほうが通りがいい | 山形県鶴岡市、新潟県上越・村上、京都府丹後地方、兵庫県香美町、島根県全域など日本海沿岸 |
| キンギョ | ノドグロ小型 | 兵庫県香美町香住、高知県御畳瀬 |
| ホンダイ(本鯛) | マダイ(真鯛)チダイ、キダイと区別するため | 新潟県佐渡、静岡県牧之原市、和歌山、大阪市場、兵庫県神戸・明石、広島 |
| レンコダイ(連子鯛) | キダイ(連子鯛)たくさん取れて連なるように揚がる意味 | 関西若狭以西、京都、兵庫、鳥取、島根、徳島など |
| トッカアジ/トッパク | アジ大型。『魚鑑』(1831)にも紀州の「とつか」、土佐の「とつぱ」が出てくる | 兵庫県南あわじ市沼島、徳島県 |
| オニアジ(鬼鯵) | アジ大型。沼島では1kgを超えるもの | 兵庫県尼崎市・明石・南あわじ市沼島 |
| ヒラアジ(平鯵) | アジマルアジに対して | 兵庫県南あわじ市沼島、徳島県鳴門市 |
| コズノ | キス | 兵庫県赤穂 |
| ナカツ | コハダ若魚 | 大阪、兵庫県神戸 |
| タチ | 太刀魚 | 福井県三国、兵庫県神戸、広島県、島根県、山口県萩、高知県、有明海 |
| ハリイカ | スミイカ(コウイカ)甲の後端にある針状の突起が体から飛び出していることから。 | 大阪府・兵庫県・岡山県など西日本各地 |
| シンイカ(新いか) | スミイカ(コウイカ)初夏から秋にとれる当歳の小イカ。 | 東京都・千葉県・神奈川県・兵庫県明石など |
| テナシイカ | ヤリイカ | 新潟県・兵庫県但馬・鳥取県・島根県浜田・山口県萩市 |
| シロイカ(白いか) | ケンサキイカ | 兵庫県日本海側・鳥取県・島根県 |
| アカエビ(赤えび) | 甘エビ | 兵庫県但馬地方・山口県宇部市 |
| マツバガニ(松葉がに) | ズワイガニ | 島根県・鳥取県・兵庫県 |
| ミズガニ(水蟹) | ズワイガニ最終脱皮後1年未満の殻が柔らかい雄。 | 兵庫県・鳥取県など日本海側 |
| カタガニ | ズワイガニ最終脱皮後1年以上たって殻が硬い雄。 | 新潟県・兵庫県・鳥取県など |
| マルアゴ(丸あご) | とびこ親のホソトビウオ | 兵庫県但馬地方、島根県 |
| デンスケ | 穴子大型。明石では300g以上。 | 兵庫県明石・姫路市家島 |
| ハナタレ | 穴子稚魚の呼び名。 | 兵庫県明石市 |
兵庫県の食べ方・名産
- 鮎兵庫兵庫県香美町を流れる矢田川のあたりでも、天然鮎を塩漬けにし、ご飯と桶に漬けて1か月発酵させるなれ寿司が、冬の保存食や祝いの席のために作られてきました。発酵が浅いものは少しあぶると、温かみの残ったのがうまい。風邪気味の朝には、なれ寿司の茶漬け。
- タイ兵庫仕入れを明石海峡の「明石の鯛」か、対岸の「淡路の鯛」の一本釣りに絞る店もあります。握りは厚すぎず薄すぎずに切り、わさびと煮切り。最後に酢橘を1滴たらして仕上げます。
- アジ兵庫夏に好んで使うのは淡路で取れたアジ、という店もあります。腹側だけでなく全体に脂がのって、身がほんのり白っぽい。ただし、その店でも優先するのは産地より品物の質です。
- コハダ兵庫姫路では10月の祭り(松原八幡神社の「けんか祭」など)に欠かせないのが「鰶のすし」。25cm前後の大きなコノシロを酢で締め、家ごとに作ります。江戸前では使われない大きさが、ここでは祭りの主役です。
- 穴子兵庫焼き穴子の本場は、兵庫県明石。三重県から和歌山県、大阪府、瀬戸内海のまわりでも、焼き穴子が盛んに作られています。
- 鯖寿司兵庫同じ鯖寿司でも、形は三つあります。姿寿司は、頭と尾を残したまま開いた塩サバを酢で締め、シャリを挟んで形を整えたもの。棒ずしは、頭と尾を落とした半身を酢で締め、シャリにのせて棒にし、竹の皮で包む。握りは、酢に漬けたサバを一口大にそぎ切りにしてのせます。兵庫では、田植えを終えたお祝いの「さなぶり」に、この握りを作ってきました。
- 鯖寿司兵庫鯖街道は京都へ向かう道だけではありません。西の鯖街道は丹波篠山へ続き、塩漬けのサバは篠山に着くころ、やはりちょうどいい塩加減になっていた。収穫を祝う秋祭りには、新米で炊いたシャリに酢で締めた塩サバをのせ、竹の皮で包んだ棒ずしを作ります。
このページの出典(23件)
- 近畿地方 兵庫県|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-30 閲覧
- カツオ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ヒラメ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- カワハギ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- アカムツ(ノドグロ)|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- マダイ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- キダイ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- マアジ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- シロギス|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- コノシロ(コハダ)|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- タチウオ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- コウイカ(ハリイカ)|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ヤリイカ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ケンサキイカ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ホッコクアカエビ(甘エビ)|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ズワイガニ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ホソトビウオ(アゴ)|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- マアナゴ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- 鮎のなれずし(1670貫目)|WEB寿司図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- 「㐂寿司」で最高の鯛に逢う。(2019年4月29日)(dancyu)2026-09-25 閲覧
- 光ものの概念が変わる「㐂寿司」の鯵。(2019年7月16日)(dancyu)2026-09-25 閲覧
- 焼き穴子握り|WEB寿司図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- 鯖寿司 兵庫県|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-29 閲覧