寿司のデータベース

品書き / 貝など

ホタテ帆立貝

ほたて/Scallop

かつては干し貝柱や缶詰になって海を渡る、高級な貝でした。貝柱の持ち味は、甘みと柔らかさ。東京の寿司ダネに加わったのは、わりと最近のことです。1970年前後に養殖が確立して値段が下がり、いまではほとんどの寿司店で握られる定番に。職人に初めて握った時期を聞くと、1980年前後という答えがいちばん多い。

ホタテガイ(須磨海浜水族園)
ホタテガイ(須磨海浜水族園)写真: harum.koh from Kobe city, Japan(CC BY-SA 2.0)
ホタテの握り(サンディエゴの回転寿司店)
ホタテの握り(サンディエゴの回転寿司店)写真: RightCowLeftCoast(CC BY-SA 4.0)

旬

旬は晩秋から初夏。養殖ものも天然もの(放流)も、味に大きな違いは感じられません。

旬 出回る時期

初めて握ったのは1980年前後

ホタテが東京の寿司ダネに登場したのは、それほど昔の話ではありません。寿司職人に初めて握った時期を尋ねると、1980年前後という答えが多く返ってきます。
転機は養殖です。1964年、玉ねぎ用のネットで種苗を集める方法が生まれ、1970年前後にはネットに入れて海に吊るす養殖が確立。活けのホタテが、関東にも出回り始めました。
生産量は、いまや50万トン前後。1959年は2万トンほどだったので、伸びはけた違いです。養殖で値段が下がり、昔は高級だった貝が、すっかり庶民の味になりました。
北海道ホタテガイの天然採苗は、1934年に北海道のサロマ湖で木下虎一郎が行ったのが最初です。

陸奥湾は吊るし、オホーツクはまく

北海道同じ養殖ホタテでも、育て方は2通りあります。稚貝に紐を通したり籠に入れたりして、海中に吊るしたまま2、3年育てるのが「垂下式」。北海道の内浦湾や日本海沿岸、青森県の陸奥湾がこれで、水揚げは冬から春が多い。もうひとつの「地まき式」は、稚貝を海底に放して3、4年後に底引き網でとる方法で、主に北海道のオホーツク沿岸。こちらは初夏から秋にとれ、天然もの扱いされることもあります。
陸奥湾のホタテ養殖を再現した展示(浅虫水族館)
陸奥湾のホタテ養殖を再現した展示(浅虫水族館)写真: あおもりくま,Aomorikuma(CC BY-SA 4.0)
青森陸奥湾のホタテは吊るして育てます。ネット状の籠に入れて吊るす「かご養殖」と、殻の一部に穴を開けてテグスを通す「耳吊り養殖」。2019年に青森県で水揚げされた魚介類でいちばん多かったのが、このほたて貝で9万9,154トン。県全体の52%を占めます。
青森陸奥湾ほたての旬は年に2度。貝柱がぐんぐん大きくなる5〜8月と、生殖巣(卵)が育つ12〜3月です。
青森陸奥湾ほたてには「ベビーホタテ」という商品もあります。産卵から1年半近くたち、稚貝より一回り大きくなった半成貝を蒸して、瞬間冷凍したものです。

殻ホとむきホ

専用のヘラで開いた殻付きのホタテ(陸奥湾産)
専用のヘラで開いた殻付きのホタテ(陸奥湾産)写真: あおもりくま(CC BY-SA 4.0)
寿司ダネの基本は、殻付きの活け。握る直前にむいて、ひもやわたを除き、素早く握る。これが正統です。職人の間では、活けを「殻ホ」、むいた貝柱を「むきホ」と呼び分けます。
活けのホタテを握るなら、貝柱のまわりの硬い腱などを外し、ひも(外套膜)は塩でもみ洗いします。
殻付きのまま短時間ゆでて握ると、甘みが増して、シコッとした食感に変わります。産地でゆでて出荷する「ゆでホタテ」という商品もあるほど。
江戸前寿司では、蛤やあさり、帆立などを煮汁に漬け込んで、ゆっくり味を含ませます。

帆を立てて風に乗る貝

帆掛け船が帆を立て、風を受けているような形。だからホタテガイ。『和漢三才図会』の説明はもっと大胆です。片方の殻を船に、もう片方を帆にして、風に乗って走る。それで帆立蛤。
「ほたて」は、もともとホタテガイだけの名前ではありませんでした。イタヤガイ科やハボウキガイ科など、帆を思わせる貝をまとめて呼ぶ言葉です。
市場の「ボイルほたて」を、ホタテではなくイタヤガイだと勘違いして「ボイルイタヤ」と呼ぶことがあります。
北海道ホタテガイが新種として記載されたのは1854年。もとになったのは、ペリーが函館から持ち帰った標本でした。

赤いのは雌、黒いウロは食べない

黒っぽい中腸腺(ウロ)は食べません。カドミウムなどの重金属が含まれているからです。食べるのは、貝柱(後閉殻筋)と外套膜(ひも)。
ホタテガイは雌雄異体。生殖巣が赤みがかっていれば雌、白っぽければ雄です。最初に成熟するときは雄で、翌年に一部が雌へ性転換するようです。

殻ごと火にかける

家では、貝殻のままウロ(中腸腺)を除いて、ゆでるか焼くか。貝の風味と旨み、それに甘みがまっすぐ味わえます。ひもは生でも、煮てもいける。
貝焼き味噌
貝焼き味噌写真: Mozzucu(CC BY-SA 4.0)
青森青森県には、ホタテの貝殻の深いほうを鍋にして、みそと卵で煮る「かやき味噌(貝焼き味噌)」があります。

値段

回転寿司・街の寿司屋・高級店のおまかせを並べて比べる

回転寿司

  • くら寿司「ほたて(一貫)」(一皿110円からの店)270円2026-09-25 時点
  • くら寿司「大盛り貝柱」1皿(一皿110円からの店)120円2026-09-25 時点
  • くら寿司「ほたてひもピリ辛わさび」1皿(一皿110円からの店)120円2026-09-25 時点
  • スシロー「国産ほたて貝柱」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)360円2026-09-29 時点
  • はま寿司「ほたて(北海道・青森県産)」1皿(税込)176円2026-09-29 時点

大衆店

  • 築地玉寿司 築地本店「ほたて」お好み1貫(税込)550円2026-09-29 時点
  • 築地すし鮮「ほたて」おこのみ1貫(税込)315円2026-09-29 時点
  • すしざんまい「ほたて」1個(グランドメニュー、税込)371円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「ほたて」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)275円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「むきたてほたて」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)550円2026-09-29 時点

『江戸前の旬』では

読者の感想によれば、70巻で弟子の和彦が挑むのは、平貝に負けない帆立貝の寿司。蒸した帆立を米油に漬ける仕事も出てきます。

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
ホダデ青森県八戸地方・山形県
ハジキ青森県養殖の作業で選別してはじいた小さな稚貝や変形した貝。安く出回る。
ホタテコ(帆立子)青森県むつ市大畑
ボホガイ青森県五戸
カイセン(海扇)北海道など(商品名)

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ホタテとつながるタネ

出てきた土地

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