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品書き / 白身

ヒラマサ平政

ひらまさ/Yellowtail amberjack

ブリ属4種――ブリ、カンパチ、ヒレナガカンパチ、ヒラマサ。その一角なのに、4種のなかでいちばん名を知られていません。「冬のブリ、夏のヒラマサ」。ブリが落ちる季節と入れ替わるようにうまくなる、夏の主役です。

ヒラマサ(川原慶賀画、1823〜1829年、シーボルト・コレクション)
ヒラマサ(川原慶賀画、1823〜1829年、シーボルト・コレクション)写真: 川原慶賀(Naturalis Biodiversity Center 所蔵)(Public domain)
ヒラマサの姿造り(刺身)
ヒラマサの姿造り(刺身)写真: Miya.m(CC BY-SA 3.0)

旬

ヒラマサ
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大型の旬は春から夏。若魚は1年を通して味がいい。産卵のあと以外は、あまり味が落ちません。

旬 出回る時期

冬のブリ、夏のヒラマサ

「冬のブリ、夏のヒラマサ」と寿司屋は言います。ブリの味が落ちる春に脂がのりはじめ、そのまま夏まで旬が続く。産卵期が春のブリは冬がうまく、ヒラマサは春から初夏。
ブリよりうま味は豊かで、それでいてあっさり食べやすい。身はブリより脂が少なく、歯ごたえがあります。この上品さを、まだ知らない人が多い。
新春に見つけた1kg級を握りに。三枚に下ろして腹の皮を引き、切りつけると、ことのほかきれい。脂はのっていなくても、うま味が濃い。飽きのこない味で、腹を5かん、背を5かん、手が止まらなくなります。
同じブリ属でも、ブリとの大きな違いは白身魚のように熟成する点です。締め方さえよければ、刺身で長く楽しめます。4日目の背の血合い近くでも酸味がもたつかず、やわらかく深い味。大型は寝かせたほうがうまい。
大型になると、背と腹で味が少しずつ違う。見落とされがちなのは尾のつけ根の手前、いちばん尾に近いところ。鮮度がよければ、ここが非常にうまい。小型なら、ブリよりもおいしいくらいです。

ブリと瓜二つ、でも別の魚

ブリ属は4種。ブリ、カンパチ、ヒレナガカンパチ、そしてヒラマサ。このなかでヒラマサは、獲れる量も養殖される量も少なく、知名度はいちばん低い。
ブリとは瓜二つで、プロでも見間違えることがある。見分けるポイントは四つ。体が左右に平たい、黄色い縦縞が鮮やか、胸びれが腹びれより短い、そして口の真上にある上あごの骨の後ろの角です。ヒラマサは丸く、ブリは角張っています。慣れれば意外に簡単です。
稚魚の暮らし方もブリとは違います。ブリの子は流れ藻について回りますが、ヒラマサの稚魚は藻につかず、沖合で暮らします。育つのはブリより速い。
ブリとヒラマサは、自然の海でもまれに交配します。そうして生まれた個体が「ブリマサ」「ヒラブリ」の名で水揚げされることがある。
人の手でも掛け合わせました。1970年、近畿大学水産研究所がブリの卵にヒラマサの精子を受精させて生んだのが「ブリヒラ」。ヒラマサゆずりの歯ごたえと、ブリゆずりの脂を併せ持つ養殖魚です。カンパチの卵にヒラマサの精子を合わせた「カンヒラ」もいます。

平たくて、まっすぐ

ヒラマサは東京や神奈川県での呼び名です。ブリより左右に平たく、まっすぐ長いから「平政」。黄金色の縦の帯が、柾目(まさ)のように一直線に走るから、という読み方もあります。
西へ行くと名前が変わる。大阪や九州では「ヒラス」、山陰では「ヒラソ」、広島では「ヒラサ」。どれも「平」から始まるのが面白い。東京の市場では縮めて「マサ」とも呼びます。
学名の記載は1845年、オランダのテミンクとシュレーゲル。1823年から1829年のあいだに長崎の絵師・川原慶賀が描いたヒラマサの図は、シーボルト・コレクションとしていまもオランダの博物館に残っています。

アジ科でいちばん大きい

アジ科約150種のなかで最大種。ふつうは1m前後ですが、記録は全長250cm、体重96.8kg。時速50km以上で泳ぎ、小魚やイカを追いかけて食べます。釣り人からは「海の弾丸ライナー」と呼ばれ、専用の竿があるほど人気です。
もとは暖かい海の魚でした。それが少しずつ北へ上がり、いまは北海道のオホーツク海でも揚がり、三陸での水揚げも増えている。昔は産地ではなかった青森県産が、市場ではもう当たり前になりました。
売場に並ぶヒラマサ(島根県、2020年3月)
売場に並ぶヒラマサ(島根県、2020年3月)写真: Nesnad(CC BY 4.0)
ブリ類のなかでは入荷量がいちばん少なく、養殖も少ない。だから値段は1年を通してやや高め。それでも東京都内のスーパーに、切り身や刺身でときどき並びます。
徳島徳島県の南、海陽町宍喰では、6月から8月に揚がるヒラマサがとても味がよく、値も高い。この土地では、はっきり夏の魚です。

尾の身は、なめろうと天ぷらに

丸ごと手に入れたときは、一つだけ頭に入れておきたい。大型の個体では、シガテラ中毒の報告があります。
尾に近い身や小型は、なめろうに。皮を引いて細かく切り、みそとねぎなどの香味野菜を合わせて叩くだけです。
大型は塩焼きもいい。切り身に塩を振って1時間以上寝かせてから焼く。脂のあるものは表面に脂が浮いてきて、揚げたような香ばしさが生まれます。
夏の魚だから、夏野菜と一緒に天ぷらにする手もある。皮付きの背を切り身にして軽く塩をし、衣をつけて揚げます。くせがなく、ほどよく繊維質で柔らかい身。天つゆだと素直すぎるくらいで、ウスターソースをたっぷりかける食べ方まであります。
腹に真子が入っていたら当たり。卵の粒が小さくて味がいい。適当に切って酒・みりん・醤油・水の煮汁に数個ずつ落とし、甘辛く煮つけると、ご飯が進みます。

値段

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市場

  • ヒラマサ(市場)ブリ類でいちばん入荷が少なく、1年を通してやや高値(年の記載なし)

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
マサ東京市場などでも
ヒラス大阪、京都府伊根町、高知県志和、長崎県、山口県下関、鹿児島県種子島
ヒラソ山陰、山口県宇部、高知県鵜来島
ヒラサ広島
ヒラゴ(平子)長崎県長崎市(長崎魚市場)小型魚
テンコツ鹿児島
ヒラソウジ鹿児島県奄美大島
アオブリ東京都新島・神津島・三宅島・八丈島
シラマサ福島県、茨城県平磯
マサギ三重県尾鷲市・熊野浦
ヒラ三重県志摩市和具、京都府宮津、鳥取、愛媛県

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