寿司のデータベース

品書き / 魚卵・ウニ

イクラ

いくら/Salmon roe

ロシアでは、キャビアも「黒いイクラ」。イクラは、もとはロシア語で魚卵のことです。日本でイクラといえば、サケの卵をほぐしたものだけ。握っても形にならないので、寿司では軍艦巻きにします。大事なのは粒の柔らかさ。それがシャリに混ざったときのうまさが持ち味です。北海道では秋になると多くの家が筋子を買い、醤油漬けを作ります。

サケ(シロザケ)
サケ(シロザケ)写真: Focus Saranpat Ouilapan(CC0)
いくらの軍艦巻き(京都・祇園の寿司割烹)
いくらの軍艦巻き(京都・祇園の寿司割烹)写真: sunday driver from Gion, Kyoto(CC BY 2.0)

旬

北海道の秋ザケ漁は8月に始まり、9月が盛漁期。筋子は8月から市場に並び、秋が深まるほど値が下がります。卵が熟してイクラに向くのは10月ごろ。

旬 出回る時期

6時間を過ぎたら筋子

イクラの原料は、とにかく鮮度が命。漁獲から6時間以内ならイクラ、それを過ぎたら筋子にする、という線引きまであります。
秋ザケ漁が解禁になったばかりの卵は、まだ未熟。粒が小さく皮も弱いので、イクラにほぐすのも冷凍するのも難しく、たいていは筋子のまま出回ります。
寿司ダネのイクラでいちばん大事なのは、柔らかさ。筋子をほぐし、しょうゆと少しの本みりんで漬けて、軍艦巻きにします。
東京銀座久兵衛の初代は、ウニの軍艦巻きを考えたあと、イクラをはじめ握るのが難しいタネを、次々に軍艦巻きにしていきました。

イクラはロシア語

「イクラ」は、ロシア語で魚卵のこと。ロシアではサケの卵を「赤いイクラ」、キャビアを「黒いイクラ」と呼びます。日本でイクラといえば、サケ科の卵をほぐしたものだけ。
もともと日本には、筋子とほぐした卵を呼び分ける名前がありませんでした。イクラの名が入ってきたのは明治時代、ロシアから。ただ、その道筋は一つに絞れません。日露戦争の捕虜から伝わったのか、北洋漁業での交流からなのか。候補は複数あります。
別の筋書きもあります。1906年前後、アムール川下流に入植した日本の漁業者は、卵巣を捨てていました。そこへロシアで需要が生まれ、粒状に加工するようになって、「イクラ」という言葉が日本に入ってきた、というものです。
イクラが食べものとして日本で広く知られるようになったのは、大正時代からとされます。樺太庁水産試験場が、ロシア伝来の製法で塩漬けを試しに作ったのが始まり、という話も残っています。

アメリカでは釣り餌

イクラをそのまま食べる地域は、世界でも限られています。アメリカやカナダでは食用にされず、砂糖漬けの瓶詰めが釣り餌として売られているほど。
富山世界で初めて人造イクラの生産に成功したのは、富山県魚津市の日本カーバイド工業です。

真水に触れさせない

真水に触れると卵の殻が固くなるので、ほぐすときは海水か、それより濃い塩水を使う、という説明もあります。ただ、北海道ぎょれんの作り方も、農林水産省が紹介する北海道の家の作り方も、ほぐしたあとは水で洗っている。このあたりは作り方しだいです。
北海道北海道ぎょれんの作り方はこうです。海水くらいの塩水の中で、生筋子を薄皮からはがすようにほぐし、大きな薄皮を除く。水を張ったボウルで振り洗いし、浮いてきた皮や筋を取る。水の赤みが消えるまで、これを繰り返します。水気をきったら、しょうゆ大さじ2・酒大さじ1・みりん小さじ1を合わせた地に入れ、冷蔵庫で3〜4時間。
ほぐすのに、ぬるま湯を使う作り方もあります。生筋子を塩水で洗い、ぬるま湯の中でほぐしてバラ子に。にごりがなくなるまで流水で洗ったら、酒と醤油を混ぜた地に一晩ほど漬けます。
漬けたイクラは、漬け汁をきって容器へ。冷蔵でおよそ1週間もちます。晩秋に作って密封し、冷凍しておけば、正月まで楽しめる。
スーパーに並ぶ生すじこ
スーパーに並ぶ生すじこ写真: Nesnad(CC BY-SA 4.0)
北海道北海道では、サケ漁が最盛期を迎える9〜10月、スーパーに生筋子が並び、多くの家でいくら作りが始まります。塩漬けより醤油漬けが主流で、醤油だけで漬ける家もあれば、出汁を使う家もある。家ごとに味が違うのです。

値段

回転寿司・街の寿司屋・高級店のおまかせを並べて比べる

回転寿司

  • くら寿司「いくら」1皿(一皿110円からの店)250円2026-09-25 時点
  • くら寿司「海水仕込み 純いくら(一貫)」(一皿110円からの店)330円2026-09-25 時点
  • スシロー「いくら軍艦」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)260円2026-09-29 時点
  • はま寿司「いくら」1皿(税込)176円2026-09-29 時点

大衆店

  • 築地玉寿司 築地本店「いくら」お好み1貫(税込)440円2026-09-29 時点
  • 築地すし鮮「いくら」おこのみ1貫(税込)632円2026-09-29 時点
  • すしざんまい「いくら」1個(グランドメニュー、税込)437円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「いくら」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)440円2026-09-29 時点
  • 芦屋 波沙鮓「いくら」にぎり1貫(税込。本体価格1,300円)1,430円2026-09-30 時点
  • 富山 蛇の目寿司「いくら」にぎり1個(税込。その日の仕入れや季節で変わる)880円2026-09-30 時点

『江戸前の旬』では

秋のタネを集めた96巻に、「イクラ3種」と題した話があります。2025年には総集編『晩秋・イクラ編』も出ました。

読者の感想を拾うと、31巻に塩イクラの握り、50巻にイクラの仕込み、81巻にイクラの味噌漬け。

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
はらこ・はららご・バラ子各地
ととまめ新潟
チポロアイヌ語

次に読みたくなる

イクラとつながるタネ

このページの出典(20件)