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品書き / 白身

カワハギ皮剥

かわはぎ/Thread-sail filefish

硬い皮をべろりと剥いでから料理するので「皮剥」。締まった白身も上等ですが、主役は秋から冬に大きく育つ肝です。握りに肝をのせるか、のせないか。寿司職人のあいだでも意見が割れる、それほど肝の力が強いタネです。

カワハギ
カワハギ写真: Daiju Azuma(CC BY-SA 2.5)
肝をのせたカワハギの握り
肝をのせたカワハギの握り写真: Nesnad(CC BY-SA 4.0)

旬

カワハギ
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旬は初秋から冬。水温が下がる前に荒食いして肝を太らせる時期で、肝の大きな個体が多くなります。本来の旬は夏で、秋から冬は「第二の旬」とする見方もあります。

旬 出回る時期

肝をのせるか、のせないか

秋の大ぶりのカワハギを握り、塩ゆでした肝をのせる。身は弾力があってほんのり甘く、そこへ濃厚なのに後味のいい肝が加わると、うまさは倍どころではない。大トロに負けない強さです。だからこそ、のせるとうるさいと感じる人もいて、嫌う職人もいる。そういう店では肝は別に握るか、ねぎと和えてポン酢をかけ「肝ポン」にしてつまみに回す。
肝は「海のフォアグラ」とも呼ばれます。脂の少ない身に対して、ピンク色の肝は脂が多く、こってりした甘みとうま味がある。秋から冬にかけては、冬に備えて餌をたくさん食べるので、肝がとくに大きくなる。
活けのカワハギは、身そのものにうま味があるので、何ものせずに握る手もあります。すだちを搾って塩で。死後硬直の前なのに、甘味が強いのが面白い。ただ、シャリとのなじみはいまひとつで、タネだけが口に残りがち。
皮を剥いだあとに残る薄皮が、職人泣かせ。薄くて引きにくいのです。そこで薄皮をつけたままあぶって握る。あぶって白くなった薄皮の下に、透きとおった身が見えて美しい。これが、ことのほかうまい。
手のひらほどの小さなカワハギを、釣りの世界では「ワッペン」と呼びます。小さくてもうまい。片身で1かんの大きさで、握って肝をのせ、そのままあぶると、見た目は美しくないのに実にうまい。

博打打ちと、餅の魚

皮を剥いだカワハギと肝
皮を剥いだカワハギと肝写真: Rakurakuda(CC BY-SA 4.0)
東京や神奈川県三崎での呼び名で、皮を剥いで料理するから「皮剥」。鱗は皮と一体になっていて、皮ごと剥き取れます。皮は厚くて食べられない。
和歌山県太地の「バクチウチ」、北陸の「バクチコキ」。皮がすぐ剥がれるさまを、博打に負けて身ぐるみ剥がされる姿に重ねた名前です。
もともと全国どこでも高値のつく魚でした。地方名に「餅の魚」があるのは、秋から冬に漁があれば餅が買える、正月が越せる、という意味。広島や山口の「モチコゴモリ」、静岡や神奈川の「アワモチ(粟餅か)」と、餅のつく呼び名が各地にあります。
マスコミなどで取り上げられたせいか、いまや異常なほどの高値がつきます。関東では煮つけ用、西日本では鍋の魚だったのが、刺身で食べるのが急に広まったことも、値を押し上げました。それを補っているのが養殖ものです。

餌取り名人

口に水を含んで砂地に勢いよく吹きつけ、砂に潜った生きものを巻き上げて食べる。夜は海藻を口にくわえて、つかまって眠る。カニや貝も頑丈な歯で殻ごと噛み砕き、エチゼンクラゲを群れで襲うことまであります。
神奈川船からカワハギを専門に釣るようになったのは、神奈川県の三浦半島から。小さな口で餌を削り取るように食べるので当たりが出にくく、餌だけ取られることも多い。その難しさが人気を呼びました。餌はアサリのむき身。秋が深まると、釣り宿の前でアサリをむく釣り人の姿が関東の風物詩になります。江戸和竿には「かわはぎ竿」まである。
静岡静岡市の三保半島では、東海大学海洋学部の研究をもとに、くみ上げた地下海水を使って、1年中肝の大きいカワハギを陸上で養殖しています。

肝たたき、肝じょうゆ

静岡伊豆半島の伊東あたりでは「肝たたき」が普通に作られます。身を細かめに切って、湯通しした肝と和えたもの。わさびとしょうゆで食べると非常にうまい。
カワハギの薄造りと肝じょうゆ
カワハギの薄造りと肝じょうゆ写真: Jpatokal(CC BY-SA 4.0)
丸ごと手に入れたら、皮を剥いて内臓を取り、三枚に下ろして薄皮を引く。生だと弾力があるので、刺身は薄造りに。肝は活魚なら生のまま、時間がたったものは塩ゆでして添えます。肝をしょうゆに溶かし込んだ肝じょうゆで食べれば、言うことはありません。
関東で昔からの定番は煮つけ。ワッペンくらいの大きさなら、肝を取り出して、水・しょうゆ・酒・砂糖でこってり煮て、仕上げに肝を戻します。
西日本でよく食べるのが、ちり鍋。昆布だしに酒と塩だけの簡単な味つけで、カワハギのうま味を楽しむ。ポン酢や柑橘じょうゆで。
高い魚なので、あらも無駄にしない。水から煮出してみそを溶くだけで、上等なみそ汁になります。昆布だしを使えばなおいい。
徳島徳島県などでは、カワハギのみそ汁はごちそうの扱いです。

値段

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大衆店

  • 築地すし鮮「かわはぎ」おこのみ1貫(税込)378円2026-09-29 時点

市場

  • カワハギ(市場)野締めはやや高値、活け締めは非常に高い。大型の活魚は最高級。天然のほうが養殖より高い(年の記載なし)

『江戸前の旬』では

連載の第60話に「カワハギ」と題した回があります。

読者の感想に挙がるのは、熟成の仕事です。77巻ではカワハギを砂糖で脱水して紙に包む熟成寿司、87巻では養殖のカワハギの肝と、天然のカワハギを熟成させた刺身。

87巻にも「カワハギ」の題の話があります。

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
ハゲ関西、和歌山県雑賀崎、高知県、愛媛県宇和島
マルハゲ(丸はげ)大阪府、徳島県、愛媛県伊予市
バクチウチ(博打打ち)和歌山県太地
バクチコキ福井県鷹巣、石川県七尾
アワモチ静岡県西伊豆、神奈川県小田原市・二宮町
モチコゴモリ広島、山口
ヤキモチコゴモリ富山県東岩瀬
チュウコウ兵庫県香美町浜坂店では「中こう」とも書く
イトマキ京都府丹後地方
カワムキ福岡県
ゲバチロ神奈川県(三浦半島西部)
ワッペン関東手のひらほどの小型。釣りの世界の呼び名

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カワハギとつながるタネ

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