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品書き / 貝など

つぶ貝螺

つぶがい/Whelk

「ツブ」は、じつは特定の種の名前ではありません。主にエゾバイ科の中型の食用巻貝をひとまとめにした、市場の呼び名です。その頂点が北海道でとれるエゾボラ(真つぶ)で、品薄になるとアワビを超える値が付く。一方、回転寿司のつぶ貝には、冷凍むき身で輸入されるヨーロッパエゾバイなどが多いようです。

エゾボラ(真つぶ)。北海道産
エゾボラ(真つぶ)。北海道産写真: Ryuichiro Kasatani(CC BY-SA 4.0)
はま寿司のつぶ貝(左)とタコ(右)
はま寿司のつぶ貝(左)とタコ(右)写真: Kyu3a(CC BY-SA 4.0)

旬

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青つぶ(ヒメエゾボラ)
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旬 出回る時期

種類

真つぶ(エゾボラ)

別名 マツブ、Aツブ

すべて北海道産。ツブのなかで最も大きく育ち、値段も最高。1990年代に全国へ出回るようになって、刺身用の巻貝の定番になりました。足は薄いクリーム色で、食感が強い。

旬は春から夏。

青つぶ(ヒメエゾボラ)

別名 アオツブ、ネムリツブ

関東の流通では「あおつぶ」。北海道名物「焼きつぶ」の材料です。真つぶより安いのに、刺身にすれば味はひけを取りません。

旬は夏。

ヨーロッパエゾバイ

別名 ヨーロッパバイ、セイヨウエゾバイ

主にヨーロッパや北アメリカで食べられている巻貝。国内には、たいてい加工品のかたちで入ってきます。回転寿司のつぶ貝には、冷凍むき身で輸入されたこの貝などが多いようです。

食べると酔う「アブラ」

エゾボラ属の巻貝には毒があります。唾液腺にテトラミンを持っていて、足を割ると出てくる白く柔らかい塊がその唾液腺。料理の前に必ず取り除く。食べてしまうと、酒に酔ったような状態になったり、後頭部が痛んだり、めまいが起きたりします。
やっかいなことに、テトラミンは水に溶け、熱に強い。ふつうの調理では毒は消えず、煮ると一部が身や内臓、煮汁にまで移ります。食べて30分から1時間で、激しい頭痛やめまい、酔ったような感じが出る。数時間で治まり、死んだ人はいませんが、酒のつまみにすることが多いので、酔っただけだと見過ごされることもある。地方によっては「酔い貝」、眠気を誘うことからヒメエゾボラは「ネムリツブ」とも呼ばれます。北海道の漁師町では、この中毒を「アブラ酔い」と呼んでいます。
青つぶ(ヒメエゾボラ)第二次世界大戦中、酒が手に入らなくなったころ、ヒメエゾボラの唾液腺を食べて酔いを楽しんだ、という話が残っています。
北海道北海道のスーパーの鮮魚売り場には、ツブの唾液腺(アブラ)の取り方を写真付きで貼り出しているところもあります。
食中毒を防ぐために、夏場の持ち帰り寿司ではツブ貝を売らない寿司店もあります。

ツブという名の貝はいない

店に並ぶツブ。左から真つぶ(エゾボラ)、灯台つぶ(ヒモマキバイ)、磯つぶ(エゾバイ)
店に並ぶツブ。左から真つぶ(エゾボラ)、灯台つぶ(ヒモマキバイ)、磯つぶ(エゾバイ)写真: Takahashi(Public domain)
「ツブ」「ツブガイ」という標準和名の貝は、いません。ツブは巻貝の古い呼び名で、狭い意味ではエゾバイ科のエゾボラ属とエゾバイ属の巻貝をまとめて指します。
「ツブ」という言葉は、巻貝の殻を壺にたとえた「つぼ」と根っこが同じです。粒立った形から「粒」に由来を求める見方もあります。
ヨーロッパエゾバイ
ヨーロッパエゾバイ写真: Hans Hillewaert(CC BY-SA 4.0)
ヨーロッパエゾバイ回転寿司などで使われるつぶ貝には、冷凍むき身で輸入されたヨーロッパエゾバイなどが多い。要確認

アワビを超える真つぶ

真つぶ(エゾボラ)市場の呼び名「真つぶ」は、北国に数ある「つぶ」の頂点、という意味。名前からして王者の扱いです。
真つぶ(エゾボラ)エゾボラ(真つぶ)はツブ類でいちばん高い貝。品薄になればキロ15,000円以上、アワビを超える値を付けることもあります。
真つぶ(エゾボラ)真つぶは、もともと北海道でしか味わえない貝でした。全国に出回るようになったのは1990年代のことです。

関東の職人が握りたがらない理由

真つぶ(エゾボラ)北海道なら、真つぶはどの店のタネケースにも並ぶ普通の寿司ダネです。ところが関東では、嫌う職人が多い。食感のよさが、シャリとのなじみの悪さにつながるからです。
真つぶ(エゾボラ)・東京八王子の鮨忠 第一元八支店のように、真つぶを握るようになった店もあります。それでも、握りで出す店はいまも少数派。
真つぶ(エゾボラ)真つぶを握るときは、殻から出して唾液腺を取り、ぬめりをもみ出してから切りつけます。細かく包丁目を入れておくと、シャリとのなじみがよくなる。

焼きつぶは殻に戻して

青つぶ(ヒメエゾボラ)・北海道北海道名物の「焼きつぶ」は、ヒメエゾボラで作ります。ゆでて唾液腺を除いた身を殻に戻し、しょうゆを垂らして焼く。
青つぶ(ヒメエゾボラ)家での下処理は、殻ごとゆでるか、殻に小さな穴をあけて身を取り出すか(サザエ用の貝棒を使ってもかまいません)。そして身を割り、クリーム色の唾液腺を必ず外すこと。

値段

回転寿司・街の寿司屋・高級店のおまかせを並べて比べる

回転寿司

  • くら寿司「つぶ貝」1皿(一皿110円からの店)200円2026-09-25 時点
  • スシロー「つぶ貝」1皿(巣本店、税込。店舗により価格が異なる)220円2026-09-29 時点

大衆店

  • 築地すし鮮「つぶ貝」おこのみ1貫(税込)442円2026-09-29 時点
  • すしざんまい「つぶ貝」1個(グランドメニュー、税込)437円2026-09-29 時点
  • 梅丘寿司の美登利「つぶ貝」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)385円2026-09-29 時点
  • 富山 蛇の目寿司「ばい貝」にぎり1個(税込。その日の仕入れや季節で変わる)550円2026-09-30 時点

市場

  • エゾボラ(真つぶ)の卸値品薄になると1kgあたり15,000円以上

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
マツブ(真つぶ)北海道真つぶ(エゾボラ)
ツブ・Aツブ関東の市場真つぶ(エゾボラ)
ケツブ青森県下北郡佐井村真つぶ(エゾボラ)
アブラ北海道真つぶ(エゾボラ)。毒のある唾液腺の呼び名。
ネムリツブ(眠りツブ)北海道道南・青森県下北半島・八戸青つぶ(ヒメエゾボラ)
ベロツブ青森県下北半島青つぶ(ヒメエゾボラ)
アオツブ(青ツブ)東京都・青森県・北海道など青つぶ(ヒメエゾボラ)
デロリン北海道増毛青つぶ(ヒメエゾボラ)
エゴバイ富山県富山市青つぶ(ヒメエゾボラ)
モモコリアイヌ語青つぶ(ヒメエゾボラ)

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