シャコ蝦蛄
しゃこ/Mantis shrimp
江戸前の海でどっさりとれた、江戸を代表する庶民の寿司ダネです。使うのは浜でゆでてむいたもの。老舗ではさらに甘い地に漬け込んでから握り、詰めを塗る。ところが東京湾最大の産地だった横浜・柴の「小柴のシャコ」は、2000年代に激減して禁漁になってしまいました。
旬
シャコ
いちばんおいしいのは、産卵期(5〜8月)とも重なる春から夏。季語も夏です。北海道石狩湾では4〜6月と10〜12月に漁があります。
旬 出回る時期
小柴のシャコが消えた
かつて江戸前の海では、シャコがいくらでもとれました。風を動力に網を引く打たせ網で揚がり、江戸(東京)を代表する寿司ダネとして、庶民的な値段で親しまれた。いまは江戸前のシャコが急減し、すっかり高級ダネです。
神奈川首都圏でシャコといえば、横浜市金沢区の柴漁協(現・横浜市漁協柴支所)の「小柴のシャコ」でした。1980年代後半には、むき身で年約180万枚(約1,000トン)を出荷していたほどです。
神奈川その小柴のシャコは、2000年代に入って激減しました。2005年には全面禁漁。いったん解禁してもわずかしかとれず、いまも漁獲ゼロが続いています。
減った原因として挙がっているのは、貧酸素水塊、栄養塩の減少による基礎生産力の低下、冬の水温上昇など。禁漁しても戻ってこないのだから、とりすぎが主因ではない。そういう見方もあります。
産地の多くでは、シャコは単にゆでたり煮たりして食べる日常のおかずで、子どものおやつにもなっていました。高級品になったのは、減ってからのことです。
北海道いまシャコがいちばんとれるのは、北海道の石狩湾。近年は年100〜150トンです。刺網でとるので小さいものは網をすり抜け、揚がるのは大型ぞろい。
寿司屋はシャコをゆでない
寿司店は、シャコを自分ではゆでません。寿司ダネにするのは、浜でゆでて殻をむいた「ゆでしゃこ」。
とったら、すぐにゆでる。シャコは消化酵素が強く、時間がたつと自分の酵素で身が変質してしまうからです。柴の漁師も、持ち帰るとただちにゆでて、むき身に仕上げていました。
江戸前寿司の老舗は、市場で買ったゆでしゃこをそのまま握ることはまずありません。砂糖・みりん・しょうゆなどを合わせた地に、ひと手間かけて漬け込みます。

かつぶし、しゃこ爪、しゃこきゅう
夏のシャコが抱えた卵巣を、関東では「かつぶし(鰹節)」と呼びます。熱を通すときゅっと締まり、旨みが強い。
東京湾浜ゆでしたシャコの爪(捕脚)から、大豆ほどの身をむき出したのが「しゃこ爪」。軍艦巻きにすることもありますが、出す店はそう多くありません。
1個では1貫にならない小さなシャコは、きゅうりと一緒に細巻きにして「しゃこきゅう」にもします。甘い詰めを垂らして食べる。
小さなシャコは、2個で1貫にする「二枚漬け」にすることもあります。
シャコは基本的に刺身では食べません。塩ゆで、酢味噌和え、シャコ飯など。そして何より、寿司ダネです。
シャクナゲ色か、癇癪か
「シャコ」の語源は二つ。ゆでるとシャクナゲのような色になるから。あるいは、捕まえると癇癪を起こすから。
ゆでたシャコは素手ではむきにくいので、ハサミを使います。尾から頭へ向かって殻の縁を切り、頭を落としたら頭側の縁も切る。周りをぐるりと切り取って、最後は尾のほうからゆっくりはがします。
しょうゆだけで煮つけても、シャコ自身から甘みが出てきます。
値段
大衆店
- 築地玉寿司 築地本店「しゃこ」お好み1貫(税込)550円2026-09-29 時点
- 築地すし鮮「しゃこ」おこのみ1貫(税込)315円2026-09-29 時点
『江戸前の旬』では
土地の呼び名
| 呼び名 | 土地 | 種類・メモ |
|---|---|---|
| ガサエビ | 北海道・青森県 | |
| ガザエビ | 北海道 | |
| シャコエビ | 宮城県石巻市 | |
| シャク | 愛知県 | |
| シャッパ | 長崎県・佐賀県 | |
| ゼニヨミ | 和歌山県和歌山市雑賀崎 | |
| アキシャコ(秋しゃこ) | 北海道 | 秋に始まるシャコ漁でとれたもの。 |
次に読みたくなる
シャコとつながるタネ
同じころに旬を迎えるタネ
出てきた寿司ことば
- 詰め穴子などを煮た汁を煮詰めて作る、甘くとろりとしたタレ。江戸前では、煮穴子や煮蛤、シャコといった「煮物」に塗ります。単に「詰め」とも呼び、作り方は店ごとにまるで違う。
- 江戸前もとは江戸城の目の前の海のこと。埋め立てで元の海が消えるにつれて範囲が広がり、いまは東京湾全体を指します。寿司の世界では、その海の魚介に仕事を施して握る流儀の名でもあります。
- おまかせ何をどの順で握るかを、職人に任せる頼み方。その日の仕入れを見て、職人が1貫目から最後までの流れを組み立てます。昭和の初めごろまでは、こちらが当たり前の頼み方でした。
- 醤油のつけ方醤油はタネにつけるか、シャリにつけるか。寿司屋の組合の答えは、タネの端に少しだけ。シャリにつけると崩れるし、煮ものや玉子のように、そもそもつけない寿司もあります。
このページの出典(14件)
- しゃこの握り|WEB寿司図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- しゃこの漬け込み|WEB寿司図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- 崩壊の危機に直面する沿岸漁業(5)シャコ(一般社団法人 楽水会)2026-09-25 閲覧
- シャコ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- シャコ(59貫目)|WEB寿司図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- 江戸前鮨(魚竹寿し)2026-09-25 閲覧
- しゃこ爪軍艦巻き|WEB寿司図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- しゃこきゅう|WEB寿司図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- 築地玉寿司 築地本店(お品書き)|築地玉寿司グループ(株式会社玉寿司)2026-09-29 閲覧
- おこのみ一貫|築地すし鮮(すし鮮)2026-09-29 閲覧
- 14話:シャコ【江戸前の旬】|ラブすぽ(ラブすぽ(日本文芸社))2026-10-11 閲覧
- 江戸前の旬 79巻(作品紹介)|コミックシーモア(コミックシーモア(NTTソルマーレ))2026-10-11 閲覧
- 江戸前の旬 114巻(作品紹介)|コミックシーモア(コミックシーモア(NTTソルマーレ))2026-10-11 閲覧
- 江戸前の旬 86巻(出版社内容情報・収録話)|紀伊國屋書店(紀伊國屋書店)2026-10-11 閲覧

