寿司のデータベース

品書き / 魚卵・ウニ

白子

しらこ/Milt (Shirako)

白子は魚の精巣。寿司屋で白子といえば、たいていマダラの白子です。卵の雌より雄のほうが高い、珍しい魚でもあります。北海道では「たち」、京都では「雲子」、宮城では「きく」と、呼び名もにぎやか。とろりと甘い冬の軍艦です。

マダラ(鶴岡市立加茂水族館)
マダラ(鶴岡市立加茂水族館)写真: Totti(CC BY-SA 4.0)
タラの白子の軍艦巻き
タラの白子の軍艦巻き写真: Arashiyama(CC BY-SA 3.0)

旬

マダラの白子(真だち)
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10月ごろから入荷。タラは1月ごろから2月ごろが最も味がいい。

旬 出回る時期

種類

マダラの白子(真だち)

別名 たち、真だち、くもこ、きく、だだみ

寿司屋の白子の主役。柔らかくくせがなく、火を通しても固く締まらない。国産はいつも品薄で高い。

10月ごろから出回り、寒くなるほど乳白色に。

スケトウダラの白子(すけだち)

晩秋からスーパーにも並ぶ手ごろな白子。北海道では味噌汁の定番。

トラフグの白子

別名 西施乳

白子の最上級で、とびきり高価。精巣は無毒。

雄のほうが高い魚

マダラの白子(真だち)魚は、卵を持つ雌のほうが値打ちのあることが多い。ところがタラは逆で、白子を持つ雄のほうが断然高い。身質のよさもありますが、何より白子がうまいからです。市場では、白子をわざと見せて売るほど。大きな雄が高すぎるとぼやいたら、仲卸に言わせれば、白子が1キロも出てくれば身のほうはほとんどただ。そういう世界です。
マダラの白子(真だち)国産の白子はいつも品薄で、とても高い。10月ごろから入荷が始まり、年末には国産が1kgあたり1万円することもあります。それでも産地からの供給は追いつかない。アラスカやカナダからの輸入もので、キロ3000円ほどです。

軍艦にのせる、冬のクリーム

寿司にするなら軍艦です。とろっと甘い白子が、シャリをくるみ込むように包む。寒の季節の一貫としてみごとな出来です。ただしポン酢で握ると酢が勝ちすぎる。すだちを搾って生醤油でぱくり、がいちばんうまい。
体長60cm、重さ3kgほどのマダラ1尾からとれる白子は、4〜5人前ほど。破らないよう筋にはさみを入れて一口大に切り、煮立った湯にさっと通して氷水で急に冷やす。仕上げは、水に3%の塩を加えた「立て塩」。やわらかな塩味をまとわせ、旨みを逃がさないための下ごしらえです。
北海道北海道の回転寿司では、冬の白子は「真だち軍艦」。軍艦にこれでもかと盛り、ポン酢と薬味でいただきます。海苔が湿気やすいから、届いたらすぐに食べるのが鉄則。漁の最盛期は11月〜2月で、寒くなるほど大きく、味が濃くなります。
マダラの白子(真だち)寿司屋の白子は、秋半ばの9月ごろに北海道から、冬本番になると三陸から入ってきます。色の変化もおもしろい。秋口の赤みがかった白子が、寒くなるにつれて乳白色に変わっていく。

たち、きく、雲子、だだみ

呼び名は土地ごとにまるで違います。北海道では「たち」。マダラの白子は「真だち」、スケトウダラの白子は「すけだち」と呼び分けます。秋田では「だだみ」。宮城県石巻では「きく」「きくこ」で、菊の花に形が似ているから。関西や石川、関東の料理店では「雲子(くもこ)」。ひだが入り組んで、渦を巻く雲のように見えるからです。
青森青森県下北半島の佐井村では、揚がったマダラの肛門に「なばり」という木の棒を差し込み、白子か真子かを見て雄雌を見分けます。材料は、下北や津軽に多いヒバ。精巣がこぼれそうなものには、そのまま栓にもなります。
トラフグの白子白子の最上級は、トラフグ。呉の王を色香で傾けさせた美女・西施の乳にたとえて「西施乳(せいしにゅう)」と呼ばれる天下の美味です。トラフグは卵巣や肝臓が猛毒でも、精巣は無毒。さばいて白子が出てきたら「当たり」。基本の食べ方は、強火でさっと焼く白子焼き。中は生のクリームで、表面だけが香ばしい。

北の冬の鍋と汁

北海道北海道の冬の定番が「たちの味噌汁」。生のたちを丸ごと昆布だしに入れ、味噌を溶くだけ。長ねぎだけでも、大根や白菜で具だくさんにしてもいい。塩でしっかり洗ってからさっと湯がき、煮すぎないのがコツです。
山形山形県庄内の「どんがら汁」は、寒ダラを頭から尾まで丸ごと使う漁師のあら汁。身を骨ごとぶつ切りにし、内臓も全部鍋へ。味の決め手が肝と白子です。本来はねぎを入れず、岩のりだけをのせます。
北海道北海道には、白子にデンプンと塩を合わせて蒲鉾のように固めた「たちかま」もあります。
タラは室町時代にはもう、江戸や京都で食べられていました。腐らないよう腹を切らずに口から内臓を抜き、塩を詰めて運んだ。腹を切らない魚として、武士に喜ばれたと伝わります。

台所の白子

家で使うなら、下処理がすべて。塊を裏返すと黒い筋があるので、はさみで切り分ける(深く切るとばらばらになるので注意)。酒を少し混ぜた冷水に10分ほどさらして血を抜き、たっぷりの熱湯で10〜30秒。少し縮んだら氷水にとります。
白子にアニサキスがいることもあります。生で食べるなら、−20℃で24時間以上冷凍してから。加熱なら70℃以上、60℃なら1分です。
白子鍋は、昆布だしに酒と塩を入れ、火が通るか通らないかの加減で白子を温めながら食べる。筋を取って血を洗い流し、食べやすく切っておくだけ。やめられなくなります。
定番の白子ポン酢は、下処理した白子をよく冷やしてポン酢で和えるだけ。ねぎ(あさつき)ともみじおろしは欠かせません。天ぷらにするなら衣を少し厚めに。天つゆより塩のほうが、衣のさくさくととろける中身の対比が生きます。小麦粉をまぶしてバターでじっくり焼くムニエルも、ナイフを入れると、とろりと溶け出す。
濃厚だから太りそう、と思われがちですが、白子は100gあたり約75kcal。タンパク質やビタミン、リン、カリウムも多い。ただしコレステロールとプリン体も多いので、尿酸値が気になる人は食べすぎに注意。

値段

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大衆店

  • 梅丘寿司の美登利「白子(季節商品)」(税込。貫数の記載なし。一部店舗は価格が異なる場合あり)275円2026-09-29 時点

市場

  • 国産マダラの白子(年末)1kgあたり1万円することもある(年の記載なし)
  • アラスカ・カナダ産の白子1kgあたり3000円ほど(年の記載なし)

『江戸前の旬』では

連載の第44話の題が「白子」。読者の感想によれば、4巻で鹿野課長と旬が白子を食べ比べます。66巻には、白子の付け焼きに黒七味を添えた一品も出てきます。

土地の呼び名

呼び名土地種類・メモ
たち(真だち・すけだち)北海道
タチ青森県下北、秋田県マダラの白子(真だち)
だだみ秋田県男鹿市などマダラの白子(真だち)
タツ秋田県マダラの白子(真だち)
きく・きくこ(菊子)宮城県石巻市マダラの白子(真だち)
くもこ(雲子)関東の料理店、石川県、関西マダラの白子(真だち)
ドンテ(동태)韓国マダラの白子(真だち)

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