京都府
千年の都は海から遠く、とれたての魚はなかなか手に入りませんでした。塩をしたサバや干物をおいしく食べる工夫が、京都の料理を磨いてきた。北の丹後は日本海に面した、とり貝やぐじの海です。
海から遠い都
日本海の丹後
京都府での呼び名
| 呼び名 | 一般には | 出典での土地の書き方 |
|---|---|---|
| シビコ→ヨコワ→ヒッサゲ→シビ | クロマグロ(本マグロ)成長につれて呼び名が変わる。10kgを超えるとヒッサゲ | 京都府宮津市・伊根町 |
| オオシビ | クロマグロ(本マグロ) | 京都府丹後地方 |
| グジ | アカアマダイ | 京都、大阪 |
| クジ | アカアマダイ | 石川県、京都府丹後地方 |
| アカクズナ | アカアマダイ | 長崎県、京都府丹後、鹿児島県 |
| アオコ→ツバス→イナダ→ハマチ→マルゴ→ブリ | ブリ | 京都府舞鶴市 |
| ビリハモ | 鱧小ぶりで値のつかないもの | 京都府(京都中央市場) |
| タツバモ(竜ばも) | 鱧 | 京都府 |
| バッタモ | 鱧 | 京都府丹後宮津 |
| アナゴ | 鱧 | 京都府丹後地方 |
| ヒラス | ヒラマサ | 大阪、京都府伊根町、高知県志和、長崎県、山口県下関、鹿児島県種子島 |
| ヒラ | ヒラマサ | 三重県志摩市和具、京都府宮津、鳥取、愛媛県 |
| イトマキ | カワハギ | 京都府丹後地方 |
| ノドグロ/ノドクロ(喉黒) | ノドグロ一般にもこちらの名のほうが通りがいい | 山形県鶴岡市、新潟県上越・村上、京都府丹後地方、兵庫県香美町、島根県全域など日本海沿岸 |
| レンコダイ(連子鯛) | キダイ(連子鯛)たくさん取れて連なるように揚がる意味 | 関西若狭以西、京都、兵庫、鳥取、島根、徳島など |
| キンタロウ/キンタル(金樽) | イワシ | 京都府宮津天橋立周辺 |
| メサバ | マサバ(真鯖)小型 | 福井県南越前町・小浜、京都府伊根町 |
| アキイカ(秋いか) | アオリイカ秋にとれる小型。 | 京都府舞鶴市・宮津市・伊根町 |
| フユイカ(冬イカ) | ヤリイカスルメイカを夏イカというのに対して。 | 京都府伊根町 |
| 間人蟹(たいざがに) | ズワイガニ | 京都府京丹後市丹後町間人 |
| アゴ | とびこ親のトビウオ(ホソトビウオ)の呼び名 | 島根県、京都府 |
京都府の食べ方・名産
- 甘鯛京都京都では「ぐじ」。産地の若狭から一塩で届いたものを、とても珍重してきました。京都は鮮魚より一塩ものを好むほどで、いまもぐじをいちばん大量に扱うのは京都だと見られています。京都で普通に見られる一塩のぐじは、関東にはほとんど来ない。
- 甘鯛京都「若狭焼き」は、一塩のぐじを鱗をつけたまま、皮目に甘口の日本酒を塗りながら焼く料理。身は練り絹のようになめらかで、頭の皮がことのほかうまい。鱗は引いてもかまいません。
- 甘鯛京都冬の京都なら「かぶら蒸し」。一晩塩をしたぐじに熱湯をかけて鱗をこそげ、蒸し碗に入れる。泡立てた卵白とすりおろした聖護院かぶらをのせて蒸し、とろみをつけただしを張って、わさびをのせます。材料はぐじとかぶらだけ。
- 鱧京都京都や大阪でよく見かけるのが「はも寿司」。骨切りした鱧をつけ焼きにして、棒寿司にしたものです。焼いた香りと、酢の穏やかなシャリがよく合う。棒寿司にすると、不思議といくつでも食べられます。
- 鱧京都京都の祇園祭は7月1日から31日まで続く長い祭りで、別名「はも祭り」。ちょうど鱧の旬と重なり、「祭鱧(まつりはも)」という言葉もあります。行事食として鱧料理がふるまわれる。
- 鱧京都生命力がとにかく強い。内陸の京都まで運んでも、まだ生きていた。それで京都でも盛んに食べられるようになりました。いま京都で食べる鱧の多くは、瀬戸内や玄界灘でとれたものです。
- 鱧京都1803年に京都を旅した滝沢馬琴も、高瀬川の生け簀料理屋で、若狭から来た鱧を食べています。
- 鱧京都京都の「はもの焼き物」は、しょうゆベースのたれをつけた照り焼きや塩焼き。鱧は身が薄いので、強火で焼くとパサついて硬くなる。焼き加減が肝心です。京都の魚屋では普通に並んでいます。
- ニシン京都にしんそばは、身欠きニシンを甘露煮にしてかけそばにのせたもの。京都では南座そばの「松葉屋」が1882年に始めたとも、北海道の江差が発祥とも言われ、いまも京都のうどん屋の定番です。京都は昆布と薄口しょうゆで薄味、北海道は濃口でほのかに甘い汁。
- ニシン京都京都には、戻した身欠きニシンを刻んだ昆布と炊く「にしんこぶ」があり、毎月のお朔日に炊くものでした。夏には、出盛りの賀茂なすとニシンを炊き合わせます。
- トリガイ京都トリガイの稚貝を大量に育てる技術を、全国に先がけて開発したのが京都府の海洋センターです。その稚貝を漁業者が舞鶴湾・栗田湾・宮津湾・久美浜湾で約1年育てたものが「丹後とり貝」。
- トリガイ京都丹後とり貝は2008年、水産物として初めて「京のブランド産品」に認証され、翌2009年には地域団体商標に登録されました。大きいものは殻長10cmほどにもなります。
- トリガイ京都育てる場所がまた面白い。丹後とり貝は、アンスラサイトという石炭の一種の砂状の粒を入れたコンテナで育ちます。
- トリガイ京都京都府が紹介する丹後とり貝のさばき方です。貝殻をスライドさせるようにして開き、丸い足を取り出す。包丁で開いて内臓を除き、熱湯で10数秒湯通し。丸まった部分を整えれば出来上がりです。
- ちらし寿司京都京都府北部、丹後のばらずしの主役はサバです。甘辛く炒り煮にしてほぐした、サバのおぼろ。これを「まつぶた」という浅い木箱に敷いたシャリに散らし、干ししいたけ、錦糸卵、かまぼこ、紅しょうがを彩りよくのせる。切り口を考えて、シャリのあいだに具をはさんで二段にする家もあります。昔はサバを長い時間煮ておぼろにしていましたが、いまは缶詰で作ることが多く、地元のスーパーには、よそでは見ない特大のサバ缶が並んでいます。
- ちらし寿司京都なぜサバなのか。若狭湾に面した丹後はサバがよくとれる土地で、冷蔵の技術がなかった時代、傷みの早いサバを長く食べるために焼いたり塩をしたりしてきました。若狭から京の都へ魚を運んだ通称「鯖街道」の周りに、焼きサバを使った料理が多いのもそのためです。名前の由来は、具とおぼろをシャリの上に「バラバラ」と散らすから。平たいざるの「バラテツキ」でシャリを混ぜたから、とする見方もあります。
- 鯖寿司京都若狭湾でとれたサバに塩をして、鯖街道を京へ運ぶ。都に着くまでの2日から3日で、ちょうどいい塩加減に仕上がる。この塩サバで作ったのが鯖寿司で、生まれは江戸時代と伝わります。冷蔵のない時代、傷みの早いサバを長く食べるための工夫が、そのまま京のごちそうになりました。
- 鯖寿司京都鯖寿司は、もとは京の町衆が家でこしらえるハレの日のごちそうでした。若狭から鯖街道を人の足で運ばれてくるひと塩のサバは、それだけで大変な御馳走。めでたい日には家ごとに鯖寿司を作り、皆で食べた。その庶民の味を料理人の技で磨き、専門店の品にしたのが、天明元年(1781年)創業の祇園「いづう」です。祇園石段下の「いづ重」は明治の創業で、そのころからほとんど変わらない製法で作り続けています。
- 鯖寿司京都京都では、鯖寿司は祭りの日のごちそう。いまも葵祭・祇園祭・時代祭の三大祭や、府内各地の秋祭りに鯖寿司を食べる風習が残っています。祭りの時期になると家ごとに作って、自慢の味で客をもてなす。店だけでなく、スーパーや魚屋でも買えます。
- 鯖寿司京都祇園の「いづう」は、天明元年(1781年)の創業。初代いづみや卯兵衛の頭の字を取って屋号にしました。始めからお茶屋への出前を商いにしてきた店で、名物の鯖姿寿司は、脂ののったマサバと特選米のシャリを北海道産の昆布で包んだもの。切り口は兎をかたどっています。
- 鯖寿司京都いづうの鯖姿寿司は、1本(2人前)6,480円、1人前(6貫)3,240円(いずれも税込)。青身の部分を取り除いて白身の部分だけで作る「みさばずし」もあって、こちらは1本7,776円。青魚が苦手な客の求めから生まれた品です。
- 鯖寿司京都京都の家の作り方。塩サバ1尾に米4合、合わせ酢は酢80cc・砂糖60g・塩小さじ2/3。塩サバを3枚におろして血合いと小骨を取り、酢水で洗ってから、かぶるくらいの酢に30〜40分漬ける。皮目を上にして、頭のほうから薄皮をむきます。身の厚いところをそいで尾のほうへ回し、厚さをそろえる。棒状にしたシャリをのせてフキンで包み、巻きすで形を整えたら、竹の皮に包んで5か所ほどひもでくくる。皿くらいの軽い重しをして、翌日が食べごろ。何もつけずに食べられますが、醤油をつけてもいい。サバとシャリのあいだにガリを挟む作り方もあります。
京都府の寿司ばなし
このページの出典(27件)
- 近畿地方 京都府|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-30 閲覧
- クロマグロ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- アカアマダイ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ブリ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ハモ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ヒラマサ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- カワハギ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- アカムツ(ノドグロ)|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- キダイ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- マイワシ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- マサバ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- アオリイカ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ヤリイカ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ズワイガニ|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ホソトビウオ(アゴ)|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- はも寿司(1387貫目)|WEB寿司図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- 鱧押し寿司/ハモ(222貫目)|WEB寿司図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- はもの焼き物 京都府|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-25 閲覧
- ニシン|市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)2026-09-25 閲覧
- ニシン蕎麦 北海道|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-25 閲覧
- 丹後とり貝の紹介(京都府)2026-09-25 閲覧
- ばらずし 京都府|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-29 閲覧
- さばずし 京都府|うちの郷土料理(農林水産省)2026-09-29 閲覧
- いづうの成り立ち(いづう)2026-09-29 閲覧
- 京寿司の老舗 祇園石段下 いづ重(いづ重)2026-10-09 閲覧
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